[沖縄キャンプを経て]堀監督率いる2018版浦和レッズの狙いを考察−Part.4『選手起用』

レギュラー候補は?

 本稿では今季の浦和の幹を形成する選手たち、堀孝史監督が主軸と捉える選手たちと、その起用法、個々の役割などについて記したいと思う。まずGKは昨年に引き続き西川周作が絶対的な守護神として鎮座し、榎本哲也、福島春樹、岩舘直がそれを下支えする。西川の特長は周知の通り、正確無比なフィード、フィールドプレーヤー並みのボールコントロール技術、そして1対1でのスーパーセービングなどだ。ハイラインを維持したい浦和にとっては自陣後方のスペースを西川が監視することでフィールドプレーヤーと連動した数的優位性を生み、常に相手よりも有利な状況を生み出したい。

 さて、今回の沖縄キャンプで興味深かったのは、センターバックに槙野智章を起用していた点だ。槙野はミハイロ・ペトロヴィッチ監督体制時に3バックの左ストッパーを務めて非常に特殊な役割を担っていた。その最たるものが積極的な攻撃参加で、前述した可変システムを駆使して敵陣深くまで侵入するアクションを見せてアタックに関与するのが彼のストロングポイントだった。しかし今季のチームで任されている槙野の役割はディフェンス面に特化している。マウリシオ・アントニオ、岩波拓也、阿部勇樹といったパートナーと共にディフェンスリーダーとして立ち、最終ラインの防波堤として尽力する。槙野はヴァイッド・ハリルホジッチ監督体制の日本代表でも同ポジションで頭角を現していて、今年6月から開催されるロシア・ワールドカップに出場する日本代表の守備の要としても期待されているだけに、4バックのセンターというポジションは実利を得られる最適な役割と言えるだろう。また堀監督としても昨季のAFCアジア・チャンピオンズリーグ準決勝の上海上港戦で左サイドバックを務めた槙野が相手FWのフッキをマンマークして封殺したプレーを評価し、彼をディフェンスラインの中央で起用する算段を立てたとも思われる。対人能力に優れる槙野を最後尾の中央に鎮座させて守備の安定化を図る。堀監督の狙いが反映されている彼のセンターバック起用は、今季のチームの傾向を読み解く上で重要なファクターになるだろう。

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