新連載『浦研クロストーク−福田正博×島崎英純』第1回「いきなりの危機」

 この度、浦研プラスの主宰者である島崎英純と福田正博が、浦和レッズのチーム状況、選手たちのプレー、戦術分析、未来への指針など、多岐に渡る話題をリアルタイムで論じ合う『浦研クロストーク−福田正博×島崎英純』を開始することと致しました。その第1回は、2018シーズンが始まり公式戦1勝2分2敗と低調が続く堀孝史監督率いるチームについて、現在のチーム成績の要因やクラブのアクション、今後の解決策などについて語り合いました。皆様、少し長文ですが、お付き合いください。

現在の苦境の要因は目標設定の曖昧さ

島崎英純(以下、島崎):ここまでの浦和レッズの戦い方を見て、どのように感じるでしょうか。

福田正博(以下、福田):試合内容を見ると、リーグ戦3試合の戦い方は少し中途半端な感じがする。昨季の浦和はミハイロ・ペトロヴィッチ監督が攻撃的なサッカーを志向した一方で守備が上手く機能しなかったことで監督が交代した。そこから引き継いだ堀孝史監督は守備からのカウンターという考え方を導入してACLAFCアジア・チャンピオンズリーグ)のタイトルを獲得できた。そんな中、今季の現有戦力はペトロヴィッチ監督の下でプレーしてきた選手でほとんど占められているので、攻撃的にプレーしたいという思考がある。堀監督は、そんな状況も踏まえてJリーグでの戦いでは若干攻撃的な戦いを志向する必要があると感じたのではないだろうか。その結果、リーグの開幕戦から数試合はペトロヴィッチ前監督が用いたような後ろからのビルドアップを徹底し、その上でワイドエリアも上手く使いながら攻撃をしたいという考え方がうかがえる。ただ、その結果、攻撃と守備のバランスが悪くなり、中途半端なプレーに陥っている。

島崎:攻撃と守備、どちらを優先するという部分で、それが定まらないままシーズンが始まってしまった感があります。

福田:定まらないのは当然だと思う。昨季のチームが攻撃的から守備的になったのは成績が極端に落ち込んだからで、それは実際にプレーしていた選手たちも自覚していたはずだ。そこでタイトル獲得の可能性を残していたACLでは守備的な戦いを受け入れて実利を得た。しかし今季は一からのスタートで、元々攻撃的な志向を備えていた選手たちの中に理想を体現したい思いがあるだろう。しかし、そのためには攻守のバランスを保ち、状況に応じて臨機応変に対処する必要がある。しかし、今のチームはその意思統一ができていない。

島崎:堀監督から選手へチームコンセプトを強く徹底させるような環境ではないのでしょうか?

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