強烈アプローチで川崎を粉砕。オリヴェイラ体制が醸した力【島崎英純】2018Jリーグ第12節・川崎フロンターレ戦レビュー

タイトマーク

 連戦が続く中でも浦和レッズは用意周到だった。

 浦和のシステムは前節までと同様の3-3-2-2で、4-2-3-1の川崎フロンターレとのミラーゲームにはしなかった。GK西川周作、3バックは右から遠藤航、マウリシオ・アントニオ、槙野智章、アンカーに青木拓矢、右サイドアタッカー・橋岡大樹、左サイドアタッカー・宇賀神友弥、シャドーが柏木陽介と長澤和輝で、2トップにアンドリュー・ナバウトと興梠慎三。ただし中盤の形は相手の動き出しによって可変していた。

 今回の戦術骨子は徹底したマンマーキング。3バックは相手攻撃陣の小林悠、阿部浩之、家長昭博に付き、アンカーは中村憲剛を監視。サイドアタッカーは相手サイドバックのエウシーニョと車屋紳太郎のオーバーラップを警戒し、ダブルシャドーは相手ボランチの大島僚太とエドゥアルド・ネットへしつこく食らいついた。問題は2トップが相手センターバックの奈良竜樹と谷口彰悟とのマッチアップ勝負になることだが、ここは味方FWの個人能力に頼ることとなった。 

 GKの西川によると、オズワルド・オリヴェイラ監督からは「前から行ったときに相手を逃がすなと。絶対に逃がすなと。1対1のところで絶対に負けるな」と言われたそうで、相手が頻繁にエリア移動する中でもベタ付きのマンマークを崩さず、容易な形でのボールキープを許さない姿勢が顕著に見られた。元々川崎は足下パスワークを基盤にするチームなので、ボールの出どころと受け手に厳しくアプローチすれば、ある程度の防御は図れる。ただ、問題はこのタイトマークをいつまで続けられるか。昨季Jリーグチャンピオンに輝いた川崎は焦れることなくコツコツとパス回しする術を会得しているため、互いが仕掛ける神経戦にどちらが根負けするかが勝負の分かれ目になるように思えた。

(残り 4767文字/全文: 5520文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2 3 4
« 次の記事
前の記事 »