チーム力に歴然の差。浦和、敵地で完敗。【島崎英純】2018YBCルヴァンカップ・プレーオフステージ第1戦・ヴァンフォーレ甲府戦レビュー

J2の甲府に圧倒される

 正真正銘の完敗だった。浦和レッズが好機を逸したわけではない。ヴァンフォーレ甲府がしのぎ切ったわけでもない。ホームチームが終始攻め、アウェーチームは苦闘に喘いだ。相手エースFWの金園英学が4度の絶好機を外さなければ6点差付いていてもおかしくなかった。かたや浦和の決定機はマルティノスのクロスから李忠成がヘディングシュートを打ち込んだシーンのみ。これをGK河田晃兵にセーブされた時点でアウェーチームの勝機は潰えた。

 信じられない思いだ。甲府は昨季J1からJ2へ降格して今季のJ2で8位に付けるチームだが、凄まじいまでの攻撃的姿勢と巧みなコンビネーション、そして身体を張ったタイト守備で浦和を完全に凌駕した。守備ブロックを築いて浦和を自陣へ誘い込んで鋭利なカウンターを発動するのが彼ら最大の狙いだったかもしれないが、それ以前に、浦和は甲府にセカンドボール、ルーズボールの争いで遅れを取って、主導権を握られ続けていた。

 甲府は約1か月前に吉田達磨監督を解任して上野展裕監督が新たに率いているチームだ。上野監督が初めて指揮を執ったのは5月3日のJ2第12節・レノファ山口戦。チームはここからリーグ戦を4勝1分の無敗、そしてYBCルヴァンカップ・グループステージは1勝1敗。唯一、ルヴァンカップでJ1のジュビロ磐田に敗戦しただけで、劇的にV字回復している。かたや浦和のオズワルド・オリヴェイラ監督も4月25日のJリーグ第10節・柏レイソル戦から指揮を執り、連戦の中でチーム構築を進めてきた。細かい話だが、浦和の方が1週間早く新チームが立ち上がっているのだ。それなのに、両チームの完成度にこれほどの違いが生まれるのは何故なのか?

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