【寄稿コラム】レッズのアイデンティティを取り戻すために−飯尾篤史

戻った熱気

 鳥肌が立つほど、熱が伝わってくるゲームだった。1020日に埼玉スタジアム2002で行なわれたJリーグ第30節の鹿島アントラーズ戦のことだ。

 攻勢にゲームを進めていながらワンチャンスを決められ、先制を許したときは、またいつもの鹿島戦かと思ったものだ。

 ところが、この日はいつもの鹿島戦ではなかった。

 52分、柏木陽介のコーナーキックに岩波拓也が頭で合わせて追いつくと、60分、前半からキレキレだった武藤雄樹が振り向き様に左足を一閃。目の覚めるようなミドルシュートを突き刺した。

 後半アディショナルタイムに武藤がセンターライン付近からドリブルを開始して、3人をぶち抜いてネットを揺らしたときには、記者席で思わず立ち上がってしまった。

 だが、鳥肌が立ったのは、熱が伝わってきたのは、ピッチ上の出来事だけではない。

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