【福田正博】FUKUDA’S EYE−今の『スピード感』に対応できない浦和がもどかしい

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大槻監督は仕事をしている

 大槻毅監督体制へ移行してからの浦和レッズは公式戦で14戦して6勝4分4敗。その内訳はJリーグで3勝4分3敗。AFCアジア・チャンピオンズリーグで1勝1敗、天皇杯で2勝だ。

 天皇杯は大学勢の流通経済大学とJ2の水戸ホーリーホックという下部カテゴリーチームとの対戦だったため、大槻監督はターンオーバーを用いて結果を残した。他、JリーグとACLは主力を中心としたメンバーで臨み、その結果はイーブンとなっている。

 大槻監督はこれまで、自らの仕事を貫徹して出来得る限りの力を発揮していると思う。彼には、しっかりとしたスカウティングを基に相手の長所を消す指導スタイルがある。その分析力は浦和や他のクラブでのコーチ職時代から高く評価されていたから、その能力が今のチーム構築の中でも反映されているのだろう。

 ただ、相手を分析して対策を講じるというやり方は受動的であり、その論旨から、大槻監督は守備に重きを置いた戦略を採る傾向がある。大槻監督が現在用いる戦術、戦略は前任のオズワルド・オリヴェイラ監督ほどには守備に傾倒していないが、それでも攻守のバランスに留意した戦いが目立つ。バランスを重視すれば攻撃面ではリスク軽減を求めるから、当然相手の守備ブロックを崩すためのアクションも控えめになる。したがって、今の浦和は堅牢な守備ブロックを形成する相手に対して個人打開を求められるシチュエーションになるわけだが、ここで状況を一変させる能力を発揮できる選手が数人しか見当たらない。

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