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【コラム】”大槻式”3-4-2-1の実情と、その問題点

大槻監督のキャリア

 浦和レッズは2020シーズンの指揮を大槻毅監督へ委ねることを決定した。

 大槻監督はオズワルド・オリヴェイラ監督の契約解除を受けて2019年5月28日に浦和の監督へ就任した。大槻監督は2018シーズン途中にも堀孝史監督が契約解除された際に暫定監督としてチームの指揮を執ったが、オリヴェイラ監督から引き継いだ際は正式に監督の任に就いた。

 大槻監督は浦和だけでなく、様々なクラブで指導者のキャリアを築き上げてきた。スタートは宮城県富谷高等学校サッカー部の監督としてで、その後は母校である筑波大学でコーチを務め、以降は水戸ホーリーホック、大宮アルディージャ、浦和、ベガルタ仙台の各Jリーグクラブでコーチ職に従事した。また近年は育成ダイレクター兼ユース監督としてアカデミー組織の選手育成にも尽力したが、トップチームの停滞によってトップカテゴリーに監督職を任命されるに至った。また、大槻監督はコーチ職の役割の中でスカウティングに特化した任務に就いた経験もあり、その当時の実績から『相手分析に長けた指揮官』という評価も得ている。

 筆者は浦和ユースを率いていた時代の大槻監督のチーム及び采配を観たことがある。その時の指揮官は当時トップチーム監督を務めていたミハイロ・ペトロヴィッチが用いる3-4-2-1システムを採用したり、ユース監督の前任者だった堀孝史が用いた4-1-2-3、他にも4-2-3-1など、多岐に渡るシステムにトライしていた印象がある。大槻監督の采配指針は、まずは現有戦力の個性や力量を見極め、そのうえで対戦相手の分析を入念に行い、その都度最適な『型』を用いることにあったと思っている。

 大槻監督が暫定監督として指揮した2018シーズン6試合のシステム変遷は4-4-2(YBCルヴァンカップ・サンフレッチェ広島戦)、3-4-2-1(Jリーグ・ベガルタ仙台戦)、3-4-1-2(Jリーグ・ヴィッセル神戸戦)、3-4-1-2(Jリーグ・清水エスパルス戦)、4-4-2(ルヴァンカップ・ガンバ大阪戦)、3-4-1-2(Jリーグ・北海道コンサドーレ札幌戦)。ターンオーバーで臨んだルヴァンカップの2試合で4-4-2を用い、リーグ戦では前線と中盤のポジショニングに工夫を凝らしつつも”ミシャ式”と称される3バックで戦っている。つまり大槻監督は対戦相手との相性やゲームプラン(ミラーゲームなど)の他、自チームの戦力に対しても慎重な見極めをし、その都度自身が最適と考える陣形を組んでいた。

 しかし、2019シーズンの大槻監督はほぼ一貫して3-4-2-1を用いた。オリヴェイラ監督の契約解除直後に指揮を執ったJリーグ第14節・川崎フロンターレ戦では両サイドアタッカーに岩武克弥と宇賀神友弥を抜擢し、彼らを敵陣深くにポジショニングさせることでオリヴェイラ監督体制時代に停滞した攻撃の促進を図った。1トップの興梠慎三、2シャドーの武藤雄樹&マルティノスと共に5トップの形で横並びになる岩武と宇賀神の所作はペトロヴィッチ監督が率いたチームを彷彿させるもので、大槻監督としては守備に傾倒したオリヴェイラ監督時代からの脱却を図るために、あえて挑戦的なゲームプランを用いたのだと思う。

 一方で、大槻監督のベーシック・タクティクスは初陣ですでに露わになっている。相手の川崎が巧みなショートパスポゼッションで主導権を奪い返すと、浦和はオリヴェイラ監督時代と同じ5-4-1のディフェンスブロックを徹底させた。相手のポゼッションワークが脅威であることは認識されていたはずで、大槻監督は秩序的な守備ブロック形成は前任者同様に継続すべきと判断したのだろう。すなわち大槻監督は、攻守バランスに留意するものの、その基本概念はオリヴェイラ監督と近い、守備を重視するタイプの指揮官であることが明らかになった。

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