【無料記事】浦研的日日是好日-『ブンデスリーガが再開されました』2020.05.18

 2020年5月16日。約2か月間中断されていたドイツ・ブンデスリーガが再開されました。試合は全て無観客で行われ、ドイツサッカーリーグ機構(DFL)が作成したガイドラインに沿って厳格な運営、管理の下で実施されました。

 ドイツ国内ではブンデスリーガの再開について今でも賛否両論があって、公共放送のARDが実施したアンケートによると56パーセントがこの時期でのリーグ再開に反対の意を示したとのことです。ドイツ国内でもサッカーに関心のない方は当然おられるわけで、その数字自体は予想の範疇かとも思います。ただ、サッカーファン、サポーターにとっては待ちに待った再開ということで、その注目度をそれなりに感じたのも確かでした。

 翻って、日本のJリーグは2月末のYBCルヴァンカップ・グループリーグ第2節が延期されてから約2か月半が経過した今もリーグ再開の目処が立っていません。Jリーグ各クラブはトレーニングも休止されており、選手たちは個別にコンディションを維持して来たるべき時に備えています。

 ブンデスリーガではリーグ再開に際してクラブ、チーム全体の隔離措置を講じたり、週2回のPCR検査を実施するなどして万全の体制を築き上げてきました。そして今後もDFLは今シーズン終了までに約30,000件のPCR検査を予定しています。これはドイツ国内全体で1週間につき37万の検査が実施され、同じく1週間で95万の検査キャパシティがある現状が加味されているため、日本の状況と照らし合わせると、この体制作りを、そのままJリーグ再開の道筋に結びつけるのは難しいとも思っています。

 無観客試合での開催については、現状では致し方ないと感じています。ワクチンが開発されていない今、ウイルス感染のリスクを最小限に抑えるためには多くの人々が一堂に会する状況を避けなければなりません。おそらくJリーグも、再開は無観客での試合実施を前提条件として進めていることでしょう。

 また、すでにJリーグから発表されているように、今季はJリーグの全カテゴリ―での『昇格あり』、『降格なし』の特例ルール適用が決定されました。今後の再開日程によっては各大会のレギュレーションが変更される可能性も十分にあります。1部ではJリーグ1試合、ルヴァンカップ1試合の公式戦2試合しか実施されていない現状ですから、今年中に全ての試合を消化するのは難しいかもしれません。新型コロナウイルスはこれまで私達が経験したことのない現状を生み出し、スポーツ界のみならず、普段の生活にも多大な影響を及ぼしていることを今さらながらに実感する次第です。

 それでも、僕の住むフランクフルトは先週末からレストランやカフェなどが営業を再開し、街中も明るい雰囲気に包まれてきました。ウイルス収束にはまだまだ時間がかかるかもしれませんが、ブンデスリーガの再開と合わせて人々が穏やかな気持ちを抱けていることを願います。そして日本のJリーグも、その道筋が明るい光で満たされることを願ってやみません。

 今週から、僕自身が経験した、今までの浦和レッズのゲーム取材の思い出などを綴る原稿を書いていきたいと思います。皆様もどうか、お身体をご自愛ください。

(了)

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