ミスマッチを解消できず。守備崩壊で大敗を喫する【島崎英純】2020Jリーグ第27節/横浜F・マリノス戦レビュー

オナイウの脅威

 局面強度がこのチームの拠り所なのに、スピードもパワーも感じられない。人に付く守備組織を用いているのに、その強度が足りなければズタズタに切り裂かれるのも自明の理だ。しかも今回は選手のパーソナル能力以外に、戦術的ミスマッチを解消できないまま時を進めたチーム全体のゲームプランニングにも問題があった。すなわち今節の浦和レッズは組織と個人の両面で相手に凌駕され、その力の差をまざまざと見せつけられた。

 浦和は前節のサンフレッチェ広島戦から中10日のインターバルを経た中で、左サイドバックの山中亮輔を宇賀神友弥に代えた以外はスターティングメンバーを代えなかった。山中と宇賀神は対戦相手毎に入れ替わりで先発しているために意外性は無し。現在リーグ戦6戦無敗の中で、大槻毅監督は完全にメンバーを固定して臨んでおり、そのチームコンセプトも定まり始めていた。

 しかし、懸念の兆候は直近のゲームで表れていた。いずれも3-4-2-1を用いる相手だったが、大分トリニータと広島に対してミスマッチ状況を生み出され、浦和が狙いたいマンマーク守備からの高速攻守転換という必殺の型を封印された。しかし、今節の相手の横浜F・マリノスは4バックチームだったため、マーキングに工夫を凝らせば難なくマッチアップ状況を生み出せる目論見があったようで、その問題解消には着手していない様子があった。

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