【FUKUDA’S EYE2020】福田正博:2020シーズンの浦和が直面した限界・前編『浦和は現状を自覚しなければならない』

福田001

ちぐはぐなクラブ、チーム運営

 2020年の浦和レッズについて。最後はバラバラになってしまった感がある。何処のチームにとってもイレギュラーなシーズンだったけれども、そもそもクラブが大槻監督に何を求めていたのかが分からなかった。

 クラブは、かなり以前から新たな監督で来シーズンを戦うことを決めていたと聞いた。そのため、大槻監督を来季への繋ぎとして捉えていたのかもしれないが、この1年間を無駄に過ごしてしまった感がある。外部にはクラブ目標を提示していたが、その目的が見えなかった。その目的は達成できたのか。それが分からない状況だ。

 クラブサイドは大槻監督に対して、もっと若い選手を起用してもらいたかったのかもしれない。一方で、大槻監督は、もう少し自由に采配が振るえると思っていたのかもしれない。ただ、大槻監督は代理人を立ててクラブ側と交渉している。その際に契約条件などをしっかり取り決めていたと思われる。大槻監督はプロとしての責任を果たそうとしていたわけで、クラブ側の意向もあるだろうが、ある程度は自身がやるべきことに邁進していたとも思う。結局は自身のキャリアにも響くわけだから、それはプロの指揮官として当然の振る舞いだ。例えば1年で契約が満了することを自覚しながら、クラブの意向通りに若手を起用して世代交代を進めるのは指揮官自身にとってメリットが少ない、結果を追い求めるのは当然のことで、その責任の所在をプロの監督として捉えていたのならば、一連の大槻監督の采配手法も理解できる。ただ、その結果、クラブが掲げた目標と実際のピッチ上に表れた現象が違ったように思えた。

 クラブが掲げた『3年計画』なるものがお題目になって、現場側にも縛りが生まれた面はあっただろう。ただ、その計画の下で、大槻監督が昨季に続いて指揮を執った理由が今でも分からない。しかもクラブは今シーズン中盤の時期に来季の体制を考えていて、監督人事に関して二転三転の末に、この度、徳島ヴォルティスをJ1へ昇格させたリカルド・ロドリゲス監督を招聘することになった。かなり早い時期から来季の監督選考に着手していた点を加味すれば、やはり今季の大槻監督体制の意義を問いたくなる。

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