少ない好機を生かして逆転。2点のアウェーゴールを得て第2戦へ【島崎英純】2021YBCルヴァンカップ・プレーオフステージ第1戦/ヴィッセル神戸戦レビュー

©URAWA REDS

意外な先発布陣

 リカルド・ロドリゲス監督が組んだ先発布陣は意外なものだった。Jリーグ第17節・名古屋グランパス戦から1週間のインターバルを経た中で、指揮官はDF西大伍、DF岩波拓也、MF小泉佳穂、FWキャスパー・ユンカーなど何人かの主力メンバーを先発から外した。キックオフ時の基本的な立ち位置は4-2-3-1といったもので、GKは西川周作、4バックは右から宇賀神友弥、トーマス・デン、槙野智章、明本孝浩。ダブルボランチで柴戸海と伊藤敦樹がペアを組み、中盤2列目は右に田中達也、左に汰木康也、そしてトップ下に関根貴大が据えられ、最前線には興梠慎三が立った。

 一方、ヴィッセル神戸を率いる三浦淳寛監督は3-1-4-2のような布陣を組んだが、これは明確な浦和対策の一環だったと思う。神戸は5月22日のJリーグ第15節で浦和に0-2で敗戦しており、その経験を踏まえて浦和のポゼッションワークや攻撃手法、そして守備戦略への対処を練っていたはずだ。具体的に記すと今の浦和はサイドチェンジアクションに威力があり、サイドエリアを経てフィニッシュへ至る攻撃パターンが主軸となっている。そこで三浦監督はまず、ストッパー3人を並べる重厚なバックラインを敷き、なおかつ浦和にポゼッションさせる際は初瀬亮と酒井高徳の両ウイングバックを後方に吸収させる5バックを形成した。また中盤のブロックも厚みを付け、バックライン前方にアンカーのセルジ・サンペール、そしてダブルインサイドハーフといった趣きでアンドレス・イニエスタと山口蛍がスペースを埋め、2トップのドウグラスとアユブ・マシカも前線で十全に構えることで中央、サイドの両エリアで浦和のパスコースを消す作業を施した。

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