大苦戦からのリカバリー。熾烈なアウェー戦で貴重な勝利【島崎英純】2021Jリーグ第25節/徳島ヴォルティス戦レビュー

©URAWA REDS

前半は正真正銘の劣勢

 前半の浦和レッズは相変わらずのスロースタート。というよりも、徳島ヴォルティスのプレーデザインに対してほとんど対策が打てていないように見えた。

 徳島のビルドアップはシステムを可変させてから始まる。守備時のノーマルな形は4-2-3-1だが、自らがボール保持すると右サイドバックの岸本武流が敵陣深くに位置を取って臨戦態勢を整える。

 徳島のビルドアップ起点は“疑似3バック”を形成したカカ、福岡将太、ジエゴの3人が担う。ここまでは昨季までリカルド・ロドリゲス監督が用いた策と相似性がある。実際に今季の浦和も左サイドバックの明本孝浩が左肩上がりにポジションを取る所作に、その狙いが見られる。ただし、徳島のダニエル・ポヤトス監督はここから異なるプレースキームを選手たちに与えている。それはダブルボランチの挙動だ。岩尾憲と藤田譲瑠チマはバックライン方向へ一切降りない。それどころか、ふたりはバックラインの前方で縦関係を築いている。岩尾が後方、藤田譲が前方で、特に岩尾のリンクマン的アクションは非常に効果的だった。彼のポジショニングは常に浦和のライン間を保っていて、ここでパスレシーブした瞬間に縦、もしくは左右へ展開してチームの攻撃を活性化させる。浦和としてはまず、この岩尾へのパス供給を遮断しなければならなかった。

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