個人勝負で完敗。『6ポイントマッチ』で轟沈【島崎英純】2021Jリーグ第31節/ヴィッセル神戸戦レビュー

©URAWA REDS

 ピッチ状況を言い訳にはできない。球足が遅く荒れた芝生に順応する努力をしなければならないし、パスを繋げられる確信がなければシンプルなフィードで局面打開する手法も用いるべきだった。ヴィッセル神戸のプレスワークは確かに見事だったが、これまでの浦和は相手防御網を巧みなビルドアップでブレイクして数多くのチャンスを生み出してきた。しかし、試合開始早々の段階で両者の間に生じたパワーバランスは明らかで、その時点で二次策、三次策へ移る選択をすべきだった。

 神戸の三浦淳宏監督は前節の川崎フロンターレ戦から中2日のゲームで4人のメンバーを入れ替え、かつシステムにも手を加えた。これまでは4-2-3-1を採用してきたが、今回は大迫勇也と武藤嘉紀の2トップにアンドレス・イニエスタをトップ下に擁し、セルジ・サンペールがアンカー気味で構える4-1-3-2のような形を採った。

 最近の浦和は後方で数的同数状況を築く形を採る。したがって相手が2トップの場合は岩波拓也とアレクサンダー・ショルツの両センターバックが後方起点となり、その前方にボランチの一角が陣取るのが定形だ。今回もそのスキームは踏襲されていて、大迫と武藤の背後に平野佑一が立ち、その前方で縦関係を築いて柴戸海が構える形になっていた。またサイドバックの酒井宏樹と明本孝浩は敵陣側にポジションを取り、トップ下の小泉佳穂と最前線の江坂任もダイアゴナルに並んでパスコースの確保に努める。浦和は最近のチームコンセプトをしっかり遵守していて、各選手のポジショニングにおいては戦略に揺らぎはなかった。

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