坪井慶介:『浦ツボ-Tsubo’s Target』第6回−『川崎のリーグ優勝と、(鹿島には敗戦しましたが)浦和のベースアップを支える頼もしき選手たちについて』

川崎と真っ向勝負した浦和の戦いには注目点が幾つかありました/©Takehiko Noguchi

川崎の強さを実感

 2021シーズンのJリーグは川崎フロンターレの優勝が決まりました。彼らは昨季に引き続き連覇で、5年間で4度リーグを制している、文字通りの最強チームですよね。

 川崎は数年前の方がポゼッションのイメージが強かったのですが、今はそれだけではなく、ポゼッションもするしハイプレスもする。また、ときにはブロックを敷いてカウンターも繰り出します。本当に何でもできてしまうチームなんですよね。その中で、今のJリーグでは隙がほとんど無く、実際に34試合を終えた段階で僅か1敗しかしませんでした。優勝が決まった翌節のサガン鳥栖戦で敗戦して今季2敗目を喫しましたが、それでも彼らが成し遂げた成果が色褪せることはありません。だからこそ、僕自身は川崎に今季のACL(AFCチャンピオンズリーグ)での優勝も期待していたんですよね。

 日本のクラブでは浦和レッズ、ガンバ大阪、そして鹿島アントラーズの3クラブがACLで優勝を果たしていますが、川崎は今季も決勝トーナメントのラウンド16で韓国の蔚山現代にPK戦の末に敗北して今タイトルに届きませんでした。彼らがアジアで結果を残せない理由は、一体何なのでしょうね。あれだけレベルの高いサッカースタイルを標榜して、日本の舞台では明確な結果を残している中で、ACLではJリーグなどとは異なるタフな肉弾戦が展開される傾向もあって、思うような成果を挙げられていません。個人的には、アジアの戦いでは相手ゴール前と自陣ゴール前の最終局面で高い個人能力が求められると思っているのですが、これまでの川崎はその点で優位に立てなかったのかもしれません。中国や韓国のチームはそれを全面に押し出してきますし、最近は中東のチームも洗練さを兼ね備えつつ個人能力の高い選手が多くなったこともあり、この傾向は一層強まっているとも思えます。

(残り 2915文字/全文: 3796文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »