【コラム】関根貴大−誰がために鐘は鳴る【日々雑感−2022沖縄キャンプ編】

©Uraken plus

リーダーとして

 岩尾憲と並んでチームの先頭を走っている。トレーニングメニューを寡黙にこなしている。一つひとつの動きを確かめるように、慎重にステップを踏んでいる。指揮官の声に、真剣に耳を傾けている。少し背中を伸ばしてその言葉を聞き漏らすまいとしている。一方で、メニューの合間になると別け隔てなく誰かに話しかけている。先輩とじゃれ合うのが好きで、後輩には何処かつれない態度を取っていた彼が、新卒の安居海渡にジャンケンを仕掛けて笑いを誘っている。

「安居は全然話さないんですよ。だから、どのようにコミュニケーションを取ればいいのかが分からないから、ジャンケンなどの幼稚なことで気を引こう思っているんです(笑)。それからゲームが好きなようなので、ゲームも一緒にやりたいと思っています」

 明らかな心境の変化は、今のチームに求められる自らの責務を認識した証でもある。阿部勇樹、槙野智章、宇賀神友弥らの多くの重鎮たちがクラブを去った今、彼らから託された思いを一心に背負おうとしている。アカデミーからプロになり、海外での経験を挟んで再び赤のユニホームを着る意義深さを伝承する。その責任の重さを、彼は価値のあるものだと感じている。

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