様々な要素を孕んだ“変身”。深刻さを増す連続ドロー【島崎英純】2022Jリーグ第13節/サンフレッチェ広島戦レビュー

©Takehiko Noguchi

明確な広島対策

浦和レッズはここからホームでの3連戦を迎える。初戦は前節の首位・鹿島アントラーズとの一戦で3-0と快勝したサンフレッチェ広島で、彼らに勝利するためには相応の対策が求められていた。

リカルド・ロドリゲス監督は過密日程の中で、リーグ戦で初めて江坂任をベンチに回すことを決断した。その代わりにゲームをコントロールする役目を小泉佳穂に託した中で、指揮官はフリーロール気味にアクションを起こすトップ下に連動する形で他の選手に意図的なポジションを取らせた。

広島のシステムは3-3-2-2、あるいは3-4-2-1のような形だった。広島伝統の3バックと両サイドアタッカーを配備しつつ、中盤のポジショニングにはフレキシビリティさが見られる布陣だ。一見すると野津田岳人の1アンカーとも思えるが、局面によっては森島司が中盤中央で並び、最前線からカリム・ベン・カリファが頻繁にプレスバックする。今季新卒の満田誠はトップ下的アクションを起こし、ジュニオール・サントスはほぼ1トップ気味に立つが、広島の前方布陣は守備時に頻繁なエリア移動でプレスワークに関与するなど、従来の“ミシャ式“とは異なりドイツ人指揮官であるミヒャエル・スキッべ監督のスタイル理念が色濃く反映されている。

例えば浦和が自陣からビルドアップを開始すると、広島は3バックがハイラインを保ち、その前で野津田が構え、両翼がワイドに張りながら、前方の4人が積極的に浦和ボールホルダーへアプローチしていく。その隊形は局面毎、ボールホルダー毎にフレキシブルに可変するが、4人でのプレス&チェイスという人数は常に確保されている。これに対して浦和は、それなりの工夫を講じていた。

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