旅猫by浦研プラス&欧研プラス

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ヨーロッパ移住への道!⑧ 『好物件が見つかった!』

 2018年3月1日にドイツのフランクフルトへ降り立った僕。目的地をフランクフルトに定めたのは昨年知り合った現地不動産会社の知人、『Oさん』が居たからでした。
 ドイツの滞在許可証(ビザ)を得るためには、まずは居住する場所を定めねばならない。そうアドバイスを受けていた僕は、さっそくOさんと落ち合って作戦を練ったのですが、最近のドイツは住居不足で、借り手にとっては厳しい状況だとのこと。僕の中の条件は、
①週末にブンデスリーガの各試合を取材するため、長距離移動しやすいフランクフルト中央駅近辺
②車を所有していないので、生活用品、食品などを購入する場所が近くにあること
③できるだけ家賃の安い物件
 まあ、なかなか要求の厳しい条件ですが、それでもOさんと相談して、まずは物件を探そうということになりました。
 で、ドイツの住居事情なのですが、まずは家・部屋を貸したい貸主さんが借り主の募集をするんですね。その際に各不動産会社へ一斉に通知される仕組みがあるそうで、不動産会社は、この借り主募集の案件を常時インターネットなどでリサーチして、良い物件だった場合はすぐに貸主さんへ連絡する流れなんだそうです。ただ、好物件ともなるとやはり競争率は高く、複数の不動産会社が一斉に貸主さんへ問い合わせするので、まずは貸主さんに連絡が付く事自体がラッキーとのこと。そして連絡が付いたとしても好物件はたいてい競合になるので、貸主さんとアポイントを取って借り主との面談が行われるのです。
 ドイツに降り立ってから約2週間。Oさんからは何の連絡もありません。ホテル暮らしなので、住居が決まらないと宿泊代がどんどんかさんでいきます。また住居が決まらなければ住所登録ができず、滞在許可証の取得作業も進められません。でも、焦っても良い物件がなければどうしようもない。仕方がないので、当時の僕は目の前の仕事に没頭することで漠然とした不安を拭い去ろうとしていました。
 3月中旬、唐突にOさんから連絡が来ました。
「シマさん、今、大丈夫ですか? やりました。すっごい案件です。条件最高です。値段も良し。でも、たぶん人気案件なので、すぐに決まっちゃうと思います。今、時間ありますか? もしあるなら、すぐに貸主さんと面談しませんか? 善は急げなので」
 なかば興奮状態で連絡してきたOさんの態度を見ると、相当な好物件に違いありません。
「行きます!」
 二つ返事で了解した僕は、すぐにOさんと落ち合って物件場所へ向かいました。まず場所ですが、フランクフルト中央駅から地下鉄のUバーンで2駅目。近い! 乗車時間はわずか5分です。
 最寄りの地下鉄駅から地上へ上がると、そこには、かつて第二次世界大戦時に兵士の見張り台として使用されていた塔が立っています。その塔の正面にある路地を入ると、約1キロほどの商店街が続いています。この商店街は地元の方のショッピング場所として活況らしく、飲食店、スーパー、衣料品店、薬局など、生活に必要なものはすべて揃っているとのこと。そしてなんと、今回の物件は、その商店街中心部から脇道にわずか100メートル入ったところ。4階建ての集合住宅(アパートメント)、最上階の4階とのことで、いやはや、条件としてはほとんど僕の希望とマッチしています。
 この物件の前に立った瞬間、僕とOさんはふたりで言い合いました。
「いや、これ、条件良すぎですね……。逆に不安になってきた。競合者が何人いるんだろう? 少なくとも、あと3件くらいは問い合わせが来ていたと言っていたし…。まあ、とは貸主さんと会って、実際に物件の中を見てみないと何も分かりませんけども…」
 戦々恐々として貸主さんの家の呼び鈴を鳴らすと、初老の女性が顔を覗かせて、いきなり速射砲のようにドイツ語で何かを話し始めました。いや、笑顔なので険悪なムードではないですよ。でも、とにかく早口で、相当なお喋り好きなご様子。
 さあ、貸主さんとの面談の行方は如何に?
(続く)