浦レポ by 浦和フットボール通信

【河合貴子の試合レビューレディース編】プレナスなでしこリーグ1部レギュラーシリーズ第1節 vs INAC神戸レオネッサ<乗松、柴田、後藤、猶本、白木、長船コメントあり>(2015/3/28)

連覇目指して開幕から強敵INACに挑む

春の陽気に包まれ三分咲きとなった桜が、22015プレナスなでしこリーグの開幕に花を添えていた。浦和レッズレディースの初戦の相手は、澤穂希選手を筆頭に、海堀あゆみ選手、近賀ゆかり選手、川澄奈穂美選手、高瀬愛実選手、大野忍選手など現役の日本代表や元日本代表が所属しているINAC神戸レオネッサだった。

神戸の先発メンバーの平均年齢は、28.5歳。浦和は、昨シーズンの最年長プレーヤー堂園彩乃選手の引退も伴い、さらに若いチームとなった。また、高卒ルーキーの白木星選手がスタメンで起用され、先発メンバーの平均年齢は21.9歳と若さを武器に、熟練していてなでしこJapanと言ってもよいほどの経験値豊かな神戸に挑んだ。

浦和のキックオフで始まった前半、立ち上がりから神戸にボールをポゼションされて押し込まれる時間が続いたが、前線から激しいプレスが掛かり始めると落ち着きを取り戻し始めた。吉田靖監督の「さがるなぁ!」の声がピッチに響き渡るとチーム全体の士気があがり、前線から連動した激しいプレスに拍車が掛かっていった。

後藤が、先制点を決めるが、もったいない失点

今シーズンから右のサイドバックを務めることとなった乗松瑠華選手は「前からプレスに行こうとやっていたが、立ち上がりに主導権を握られてしまい、相手のリズムになってしまった。千葉合宿で監督から、今年はサイドバックで行くぞっと言われて練習してきました。タッチラインを背にするし、守備では、はまり易かった。サイドで強く行けて、ボールを奪って早く前に行くことが出来たら、また違っていたと思う」と手応えを感じながらも攻撃参加の難しさを口にした。

前線からの守備がはまり出した17分、和田奈央子選手のクロスのこぼれを加藤千佳選手が拾ってミドルシュートを狙うもゴールのわずか左に逸れてしまった。その直後、川澄奈選手にドリブル突破されたシュートはクロスバーの右角に助けられた。

それでも浦和は、慌てずにプレスを掛け続け、34分に神戸陣内で猶本光選手がインターセプトすると、柴田華選手の右へと展開。柴田選手は、胸トラップからボレーでゴール前へと折り返し、身体を投げ出した後藤三知選手のヘディングシュートが決まり浦和が先制。

先制点を叩き込んだ後藤選手は「最初は、神戸がボールを保持する時間があったが、ゲーム前からそういう時間もあると全員で臨んでいった。しっかりゴールを守る中で、途中から厚みのある攻撃が生まれた」と話した。

先制点が生まれて勢いに乗る浦和は、後藤選手のパスから猶本選手がDFの裏に抜けてゴールを狙うも決定的なチャンスを生かせず、1点リードの状況で後半へ折り返すと思いきや前半終了間際に、一瞬の隙を突かれてしまい高瀬選手のシュートが決まり1-1で折り返すこととなってしまった。

先制点の起点となった猶本選手は「中で華が(柴田選手)呼んでくれたので、早くボールを入れてみた。失点は、もったいなかった。ビックチャンスに決められずに悔しい。あそこで決めていれば、良い流れを引き寄せられたのに・・・」と眉をひそめて悔しさを露わにした。

もったいない失点であったが、ハーフタイムに「大丈夫!行ける!」とみんなで声を掛け合い盛り上げて後半を迎えた。後半も立ち上がりから前半同様にプレスをかけ続けてゴールを目指す浦和であったが、徐々に足が止まり始め前線で白木選手がボールをキープするものの相手DFを崩せず苦しい展開になってしまった。

後半、足が止まり始めて逆転を許す

前線で身体を張った白木選手は「シュートが少なかった。自分が動いて、パスを貰えなかったらまた動き直すという感じだった。もっと貪欲にゴールを狙っても良かったと思う。チャンスがあったら遠目からでも撃ってば良かった。綺麗に崩すのでは無く、空いていたら撃つ。ボールを溜めて、パスを出した次の動き出しも遅かった。ボール回しには関わっていたが、点に絡む位置での関わりが出来なかった」と悔しそうに話した。

足が止まり始めた浦和は、ズルズルとDFラインが下がり始め、交代準備が出来ていた70分に大野選手が下がって攻撃の起点となり、伊藤選手へとパスが渡ると、エリア内のスペースに飛び出した京川選手が冷静に決めて逆転を許してしまった。その直後に、加藤選手に代わり清家貴子選手が入り前線のプレスを強化し、79分には岸川奈津希選手に代わり鼻骨骨折中の吉良千夏選手(3月13日の練習で怪我)、和田選手に代わり臼井理恵選手と2枚代えで反撃を試みた。

しかし、試合終了間際の90分に左CKを澤選手にニアーで合わされダメ押しの追加点を決められてしまった。アディショナルタイムは4分。それでも浦和は諦めずに闘う姿勢を見せて、91分に猶本選手の右CKを長船加奈選手が中央で高さを見せ付けるヘディングシュートで2-3と追い上げるも、無情な試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

開幕戦を白星で飾ることが出来なかったが、最後まで闘う姿勢を見せた選手たちには、温かい激励の惜しみない拍手が送られていた。次節は、4月4日フクダ電子アリーナで千葉と対戦する。

今日のポイント!

ゲームの運び方や選手の身体の使い方などスキルは、正直言って神戸の方が上手かった。巧みなポジションチェンジして攻撃の起点となる大野選手に、浦和の守備は翻弄されてしまった。長船選手は「大野さんにあのポジションを取られるとやり辛い。時間の使い方も上手いし、個人の差を感じた。でも、浦和にはチーム力がある。チーム力で勝てる」と試合後に話していたように、チーム力で神戸を苦しめることは出来た。あとは、追加点と失点の時間帯の問題であったと思う。神戸は決定的なチャンスを冷静に生かして、同点にしたことで落ち着いて後半を迎えることが出来た。スキルの高い神戸に敗戦はしたが、内容は決して悪く無かった。今後もチーム力を生かして、勝利を目指していく。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ