浦レポ by 浦和フットボール通信

宇賀神友弥が『努力に勝る天才なし』を体現できたと振り返った決勝弾の裏にあった思いとは【河合貴子 試合のポイント/天皇杯決勝 仙台戦】


(Report by 河合貴子)

強固な守りで12大会ぶりの天皇杯制覇

埼玉スタジアムの夜空に、高らかと浦和の天皇杯優勝を告げる笛が鳴り響いた。再びアジアの舞台で闘える待ちに待った瞬間であった。

試合開始から仙台に主導権を握られ、ピッチの幅をうまく使い浦和を揺さぶり浦和のゴール前へと飛び込んでくるボールを何度となく跳ね返す展開になってしまった。セカンドボールもうまく拾うことも出来ず、前線にもボールが収まらず、本当に苦しい序盤であった。

だが、11分に仙台の一瞬の隙を突き岩波拓也選手が、右サイドのスペースへと走りだした長澤和輝選手へと鋭いロングパスを送ると、長澤選手がゴールライン際からダイレクトで上げたクロスに興梠慎三選手が放ったヘディングシュートは、惜しくも決めきることができなかった。

この浦和のファーストチャンスから2分後の13分、右CKを柏木陽介選手が武藤雄樹選手へとショートコーナーを選択し、武藤選手からパスを受けた長澤和輝選手がゴール前へと入れたクロスのこぼれ球を宇賀神友弥選手が放った渾身のボレーシュートがゴールネットを揺らしたのだ。

浦和に先制された仙台は猛攻を仕掛けるが、26分の野津田岳人選手のミドルシュートも西川周作選手がスーパーセーブしたり、阿部勇樹選手が中心となってDF陣が踏ん張って前半を1-0で折り返した。

後半は、後ろから繋いでくる仙台に対してショートカウンターを狙うシーンもあったが、追加点を奪うことができなかった。1点を追う仙台は、67分に関口訓充選手と阿部拓馬選手をピッチに送り込み攻撃を活性化し、さらに80分には矢島慎也選手を投入。最後の切り札として長身の板倉滉選手を前線に上げてパワープレーに撃って出たのだ。

関口選手は「ゲームは支配していたが、先制点を獲られた。最後のところを破れなかったのは、自分たちが何かしら足りなかったからだ」

矢島選手は「最初から試合に出て、闘ってみたかった思いはある。監督から点を獲りにいけって言われていましたが、浦和の守備が粘り強く、シュートを撃つ時は前に3人ぐらいいた。すごいなと思った。結構、外に追いやられてクロスという場面が仙台は多くなっていた。出たらもう少し違うことが必要だった。浦和が退いているので、隙があったらミドルシュートを撃ったり、サイドで数的優位を使っていろんなことがやれたら仙台は良くなると思う」と元浦和の2人は本当に悔しそうに話していた。

それだけ、浦和の捨て身の守備は堅かったのだ。後半に浦和が放ったシュートはわずか2本に対し、仙台が放ったシュートはなんと10本であった。

決勝という大舞台で、最高の雰囲気を作り出してくれた浦和を愛する人々とともに勝利を目指し、勝つためになりふりかまわず泥臭く闘った結果、1-0で仙台に完封勝利して天皇杯優勝を飾ることができたのだ。

決勝弾の宇賀神も興奮

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