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【無料記事】「存続に向けて全力を尽くす」立花代表が定時株主総会後に、現在のクラブ状況を語る


(Report by 河合貴子)

2019年度は史上初の80億円を超える事業収入に

定時株主総会が、新型コロナウイルスの影響でハイブリッド型のバーチャル株主総会の形式で参加型で行われ、2019年度の事業収支の承認と立花代表取締役社長の再任が決定した。

株主総会後に行なわれたZOOM取材で立花代表は「今シーズンが始まる前に、強化体制を変えて新たに取り組むことをしてきた。沖縄の合宿から始まって、順調にスタートした矢先に新型コロナウイルス感染症の影響で活動が停止している状況になりました。こういう中で今、我々は最大限、感染拡大防止に向けて、一刻も早くリーグ戦・活動の再開を図りたいとチーム一丸となって取り組んでいる。もちろん、経営に関しても大きな影響があるということは、避けられないと予想している。我々は一丸となって浦和レッズの存在意義を改めて確認して、その存続に向けて全力を尽くして参りたいと思っている」と最初に挨拶をした。

2019年度は、浦和史上初の80億円(82億1766万円)を超える事業収入となった。屈辱的な結果となったリーグ戦の平均入場者数(3万4184人)は前年度と比べて1318人減少したが、ACLのホームゲームを含めると総入場者数は前年度より12万1211人増加し80万2786人で、入場料収入は約23億円。広告料収入は、過去最高の約38億円。グッズ収入は、約9億円。そしてACL準優勝賞金などのプレミアム収入は約11億7千万円となっていた。

営業費用としての支出は、事業運営費が約30億円、チーム運営費が約40億円(監督・コーチ・選手報酬 32億2800万円)、一般管理費が約10億円となり、営業費用の総額は80億8172万円。営業利益が1億3594万円、当期純利益が6198万円となり9年連続の黒字であった。

リーグ中断に如何に立ち向かうか

順風満帆に来ていた浦和であったが、2020年度は新型コロナウイルスの影響でJリーグの再開の先行きが見えない不安は否めない。

「パートナー企業さんの広告収入、入場料収入、グッズの収入、プレミア収入の4つの大きな柱がある。いずれもJリーグを開催することによって、得られることがベースになっている。試合ができない状況にある。非常に大きなリスクを抱えていると認識して、様々な対策を実行しているところだ。収入をいかに減らさないか、費用をいかに削減していくかを社内でプロジェクトチームを立ち上げて一体となって取り組んでいる。

すでに、在宅勤務で全員の知恵を結集し、前向きに取り組んでいる状況であります。リーグ再開がいつになっても、我々が対応できる形で今は検討している。そういうことがなければ、今の危機的な状況を脱することができない」と明かし「固定費に手を着けずに、クラブの事業が存続されることを見据えていると考えている」と話した。

もちろん、年度計画の見直しもしなければならない。「いかに浦和レッズは、パートナー企業さんに支えられているか。本当に有り難いと思っている。厳しい中でも支えてもらっていることに改めてお礼を申し上げたい」とPCの画面越しに立花社長は深々と頭を下げた。

パートナー企業に対しても試合が出来なくても違った形での広告宣伝を提案して協賛金を減らさない活動やシーズンチケットの返金を寄付金にしてもらうなども考察していた。経費削減しながら、収入源をできるだけ減らさない中で立花社長が唯一、増えると思っていたのが、グッズ販売であった。

「スタジアムで購入できない。レッドボルテージでの販売もできない。ただし、ネットで申し込んで頂いてお届けできる。いろんなアイディアをクラブ全員で出し合って、浦和のファン・サポーターだけでなく、スポーツを応援して下さる方々に届くような物を企画して販売することを考えている」とネット販売のグッズ収入に期待していた。

そして、今般の状況を踏まえて「当然、Jリーグとして何とか試合を成立するためには、必要なこととして無観客の話が出たと思う。我々は、ファン・サポーターの皆さんのために、『闘う浦和レッズ』として、無観客を避けたいと申してきたが、こういう状況になれば、Jリーグの総意として、それに従う」と話した。

また、新型コロナウイルスが終息し、サッカーを思いきり楽しめる日々を本当に早く取り戻したいところであるが、活動停止をしている中でも『浦和の存在意義』を示していくことができるはずだ。

「『今、できることをしっかりとやろう』を合い言葉にした取り組みを現場サイドはしている。経営面でもいろんな提案が出て、実施しているところです。やはり、地域の方やサッカーだけでなくスポーツする皆さんに対して、浦和レッズができることを考えて実行していかなければならない。それが、我々のミッションだと考えている」と話し「中国からコロナが始まった。1月の沖縄で合宿をしているときから、心配をしていた。コロナは恐ろしいものだと私自身は、選手にずっと伝えてきました。ハイタッチも握手も止めてきた。クラブとしても、コロナウイルスに打ち勝つだ!我々ができることは3密だったりを守ることからスタートしている。ホームページにも出したが「STAY HOME」これを訴えていく。そして皆さんと共に感染を防ぐことをしていくのが、世界はもちろんだが、日本でも求められていると思っている」と力強く話した。

練習場をPCR検査場として協力も「正式に決まったらご報告します」と話し「依頼があれば、拠点をいくつか(大原練習場やレッズランドなど)もっている。一番、適切な場所を提供することが考えられる」と話した。

そしてZOOM取材の最後に「厳しい状況ではありますが、このコロナウイルスに勝って試合を再開するにあたっては、本当に日本の国民の皆さん、スポーツを愛する皆さんなどのご理解がないと進められないと思っています。そういう意味で、野球やサッカーが再開できることが、どれだけ大きな意味を持つのか責任を感じて、再開に向けて全力を尽くして参りたい。ぜひ、また、満員の埼スタでお会いしましょう」と締めくくった。

新型コロナウイルスの影響で経営面では本当に苦しい状況であるが、新型コロナウイルス感染防止に最善を尽くし、クラブの存続に向けてパートナー企業、浦和を愛する人々の力を借りながら経営面の安定を図っていく。

立花社長から、とにかく一丸となってこの非常事態を乗り切っていく覚悟を感じる内容であった。

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