浦レポ by 浦和フットボール通信

【無料記事】柏木陽介が自粛生活の中で芽生えた想い「ちょっとでも長く浦和のスタメンで出てやりたい」

(Report by 河合貴子)

有意義に過ごすもベテランとしての難しさも

「ちょっとでも長く浦和のスタメンで出てやりたい気持ちがすごく強くなった」と目を輝かせていたのは柏木陽介選手であった。

自粛生活を過ごす中で、「自分がどうあるべきか、身体(コンディション)を落とさないことだけしか心掛けてやってない。システム、チームがどうこうって頭の中でイメージしてる。自分が今の年齢でどういう役割を与えられいるのか、見えてきた部分があった。自分のサッカー選手として、人としてというところで見つめ直せる部分があったりした」と凛とした口調ではっきりと話した。

この中断期間に、頭の中をしっかりと整理してメンタル的に有意義な時間を過ごしている。表情からしても、ずいぶんとスッキリとしている印象があった。しかし、やはり32歳のベテラン選手にとっては、厳しい現実があるようだ。

「ただ、年齢も年齢ですし、やっぱりベテランと言われる年齢。試合に出ないと手当をもらえない。ベテランの人たちは難しい思いをしていると思う。そういう気持ちが自分たちを強くしてくれるのかな・・・。自分がやれることをしっかりとやって、試合が始まったときに自分の力を出せるように意識して日々を過ごしている。

30歳を超えたらベテランと自分が若い頃に思っていた。実際、自分が30歳になって「ベテランか?」って聞かれたときに「まだまだできる。これからやろ?!」とすごく思っていた。世代交代とかサッカーの中では言われていることもあって、ベテランとはまだハッキリと言いたくない部分があるが、現実的にはベテラン」と険しい表情をした。

そこには、昨シーズンの怪我に戦線離脱や不調で試合出場機会もリーグ戦17試合のみと低迷したことに要因があった。柏木選手にとってメンタル的にもすごく落ち込んだ昨シーズンであった。

「去年の出来事が、自分の中で一番大きかった。一回り大きくなれた時間だった」と話し「去年、ベテランと感じないまま試合に出られなかったり、怪我したり・・・。気持ち的に、ちょっとチームに迷惑かけて、プレーでも迷惑かけた。去年、しんどかった1年というか、自分が『ダメだな』」と昨シーズンの不調を思い出しながら話した。

そして「100%で練習に取り組んでいくと、サッカーの楽しさをより感じることができた。真剣に年を重ねていっても、若い選手たちと競争して試合に出られて活躍できたらどんなに楽しいことかって1つ変化があった。2つ目は、子供が生まれた。男の子なんですけど、自分がサッカーをしている姿をできるだけ長く見せて、目に焼き付けてほしい。『お父さん、こういう人だったんだ』って思ってもらえるようなことが少しでもできたら良い。今年、頑張って戻って試合に出られた中での、こういう状況だ。逆に、全てを含めて自分を強くしてくれた。そして、これからもっと長くやっていきたいと思わせてくれる時間になっている」と心境の変化があったのだ。

「選手としてどうあるべきか・・・」と一呼吸を置いて「これから今シーズンは連戦になる。特にベテランになると連戦ができない状況になる。試合に出ていないときに、どういう風にチームの中でやっていけるかはベテランの俺らの仕事。去年、立ち振る舞いを含めて自分がやったことは、すごくマイナスだった。それを踏まえた上で、自分の言葉や態度、プレー、行動で若い選手たちに示せる本当に芯の通った発言ができると思う。チームを心から支えることをメインにやっていく。もちろんボランチで出て、攻撃の部分でどういうパスを出すのか選択肢で攻撃を握っている。もっともっと発揮していかないと。ただ、守備の部分でも相当求められている。人を動かして守備をするところをもうちょっと意識してやっていかないといけない」と話した。

心配事があるとすれば、ピッチでの練習が再開したときに「コンディション的に頑張ってきたけど上手くいかないとか、試合に出ていた人が始まって「俺、出られないんだ」となったときの方が心配。出ている人へのサポート、出られなくなった人へのサポートができるように心の準備をしたい。支えられるような準備をしていきたい」とベテランらしく他の選手たちを気遣っていた。周囲とのコミュニケーションをもっと深めていく心積もりであった。

そして「良いプレーで勝ちたい。ピッチの上で一生懸命にサッカーをやって、その姿で皆さんの気持ち的な部分を解決してあげたいところが一番だ。サッカーをしている喜び、見てもらえている喜び、見てくれている人たちが楽しんでくれている喜び、そういう物を全力で出していけるようにやっていく」とこの自粛生活の中で決意を新たにした。

「ベテランだけど、38歳ぐらいまでやれたら良い。(フィジカルが)どうしても落ちてしまう。35歳を超えたら38歳までいけるんじゃないかな。35歳越えたぐらいから、本物のベテランと言いたい。35歳がひとつの区切りと思っていて、38歳以上は正直しんどいのかな。レッズに対して自分ができることがある!」と目標を掲げた。

目標がある限り、それに向かって突き進む強さが増した柏木選手であった。心境の変化とともに、『浦和の太陽』が輝きだした。

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