浦レポ by 浦和フットボール通信

また成長の踊り場を超えた感のあるチーム 1点目は今季のベストゴールに【轡田哲朗レッズレビュー/ルヴァン杯横浜FC戦】

(Report by 轡田哲朗)

厚くなった選手層を示した面もあるゲームに

浦和レッズは19日のルヴァン杯グループステージ最終節、横浜FC戦に2-0で勝利した。リカルド・ロドリゲス監督が「決勝戦のような試合」と言った理由は、それまでの5試合の結果によって、この試合は勝利なら突破、引き分け以下なら敗退という分かりやすい条件があったからだ。そして、横浜FCは引き分け以上なら突破という条件を持っていたので、残り15分で同点などという状況になると、ちょっとしたことで時計の針が全て相手の味方をするようになる。そうした意味では、試合開始わずか3分で一度その状況を解消できたのは非常に大きかった。

メンバー構成をどうするかが試合前の注目点で、あまりクローズアップされていなかったけれども、16日のガンバ大阪戦後にその点について記者会見では「勝たなければいけない試合なので、まずはしっかりと次の試合に勝てるために、疲労や戦術的なところ、あらゆる面を判断して試合に臨んでいければ。次の試合に勝つためには、今考えられる一番いい構成でいかないといけない」と話していた。一方で、ガンバ戦前の定例会見では「リーグ戦を最も重要視しているが、浦和レッズとしてはどんな大会でもできるだけ上を目指す」という言い方をしていたので、そのバランスがどこに来るかを楽しみにしていた。

そういう意味で、2戦連続スタメンになった柴戸海と小泉佳穂、そして45分ずつ出場した槙野智章と岩波拓也はかなりこのチームで中核を占めると言っていいと思っている。そして、少し試合のメンバーから遠ざかっていることが明らかな選手たちがいるけれども、20人以上がそれなり以上の戦力化されていることが示された試合だとも言えるのではないだろうか。

「1→3→2→4」とボールが動いて生まれた先制ゴール

それで、何といってもこの試合は1点目を振り返ってみたい。このゴールには素晴らしいプレーがいくつも詰め込まれていて、まずは山中亮輔がボールを持った時からの突破で、レーンを横に複数使用していくプレーと、縦の出入りによって前後の揺さぶりが起こることが組み合わせられた結果、斜めに相手を揺さぶるプレーになっていることだ。

流れで見ると、山中のパスを汰木康也が触るようなアクションからスルーして、そのボールの先には興梠慎三が入ってポストプレー。そのボールには向きなおした汰木が合わせて、そこではすでに走り出していた小泉佳穂が興梠によってつくられた最終ラインの隙間を突いていく。それが理解できている汰木は、当たり前のようにコントロールされたスルーパスを通した。

小泉は飛び出してくる相手GKをドリブルでかわし、逆サイドへボールを流してそこに大外から関根貴大が詰めてきた。ワイドの選手が最終的にゴール前で仕事をするのは、16日のガンバ大阪戦と同じことで、メンバーが代わってもチームのコンセプトや考え方は変わらずに表現されていると言える。

図示したものが伝わるかは分からないけど、このプレーは縦にも横にも「1つ飛ばしのパス」が入っていると言える。「ボールを触った場所」で言うと、後ろからも左からも、山中、汰木、興梠、小泉、関根の位置関係になるけど、「ボールを触った順番」になると汰木と興梠が入れ替わる。だから、山中から興梠のパスは1つ飛ばしだし、汰木から小泉のパスも1つ飛ばしになる。

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