浦レポ by 浦和フットボール通信

悪くない構図と機能させるために必要な技術 「個人」と「組織」は対立しない【轡田哲朗レッズレビュー/J16節広島戦】

(Report by 轡田哲朗)

リーグ戦でターンオーバーしないのが再確認された

浦和レッズは26日のリーグ第16節、サンフレッチェ広島戦を2-2で引き分けた。1-1から勝ち越して、最後に追いつかれての引き分けという点が必要以上に批判されたり、マイナスの感情をぶつけられたりする原因になったかなという感はあるものの、ほぼ同じくらいの順位にいるチームとアウェーで引き分けたわけであり、相手の2点はペナルティーエリア外からのシュート。こちらのPKもラッキーな要素の強いものという点からも、そこまで悪く考える必要はないように思っている。

広島が殺人的な連戦の渦中にあったことは少し別の話として、浦和はその前のヴィッセル神戸戦から中3日の試合だったけれども、柴戸海と小泉佳穂がスタメン復帰したほかは継続スタメンの選手が並んだ。結果的にリカルド・ロドリゲス監督は「疲れは、多少はあったと思う。連戦で、相手もそうですけど我々もそういったところは多少なりともあった」と話した。とはいえ、3月や4月もそうだったけれどもリカさんはリーグ戦で大幅なターンオーバーはしないできたので、そこの部分は変わっていないということが確認されたという面もあるだろう。

構図そのものはそんなに悪くないが、個のところでブレが出た

広島が浦和戦の前から3バックに回帰して、相手ボール時もそのまま後ろを5バックにすることを継続したので、浦和としては前線で大外に1枚余っているというような「横の優位性」を作ることが難しい状況になった。そうなると、相手のラインに対して同数の場所、例えば左サイドだったら、明本考浩、汰木康也、キャスパー・ユンカーの3人と相手の5バックのうち右側の3人が対峙するゾーンに対して、誰かが後ろからボールを持ち運んでくるような形で「縦の優位性」を作ると崩しやすくなる。ただ、それに関して言うとまだ課題が残るのかなという部分が浮き彫りになった。

基本的な構図としては、広島の1トップ2シャドーに対して、岩波拓也と槙野智章の2人が後ろ、柴戸海と伊藤敦樹の2人がそれぞれの間を取って、両サイドを西大伍、明本を中心に2列目の選手も出入りするという形になった。それに対して広島は、柴戸と伊藤敦樹までダブルボランチを出す構えだったので、極端に言えば浦和は4人で広島の5人を引っ張ることができている。このマイナス1人の構図でもサイドのパートタイマーを使いながら突破できるのか、それとも頭を越えるのかして敵陣に入っていければ、高確率で具体的なチャンスに発展させられる。そういう意味では、広島はリスクを背負って前にかけたわけだから、柴戸なんかは1試合中に何回も足首を削られるようなきついタックルを受けることになった。レフェリーがもう少しうまくカードを含めたマネージメントをした方が良かったかなと感じるところもあるが、それとは別に感じたことの方が大きかった。

(残り 2274文字/全文: 3474文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ