浦レポ by 浦和フットボール通信

勝ったチームとしての意思疎通 伊藤敦樹は憧れの駒場でのプレーに笑顔【河合貴子 試合のポイント/ルヴァン杯プレーオフ第2戦神戸戦】

(Report by 河合貴子)

最後は5バックにして守り切り、プレーオフステージ突破

最後の笛が鳴るまでの5分のアディショナルタイムが、本当に長く感じられた。2-2の状況下で、神戸に1得点が決まり2-3で浦和が敗戦を喫していたら、第1戦の結果を合わせて2試合で1勝1敗と勝敗が並び、得失点差も並び、アウェイゴール数で神戸が勝ち上がる結果になっていた。試合終了の笛が鳴るまで、予断を許さない状況であった。

試合後のリモート会見でリカルド・ロドリゲス監督は「できれば、そういうことはしたくはないですが」と眉間にシワを寄せていたが、苦肉の策で5バックにしてゴール前を固めて逃げ切った。チーム一丸となって集中力を切らさずに堪え、第2戦を2-2の引き分けとし、2試合合計の結果1勝1分けでYBCルヴァンカップ・プレーオフステージの突破を決めた。

6月9日に天皇杯2回戦をカターレ富山と戦った浦和は、中3日でこの試合に臨み3連戦となった。第1戦を2-1で敗戦を喫した神戸は、天皇杯2回戦が16日のため第2戦に向けてしっかりとコンディションを整えた上で浦和対策を練って挑んできた。

3バックか、4バックで神戸が来るのか読めない中で、何と神戸は佐々木選手とドウグラス選手を2トップにして、トップ下にイニエスタ選手、アンカーにサンペール選手に任せ、左右に山口選手と郷家選手と中盤をダイヤモンドの形にした4-4-2とシステム変更をしてきたのだ。

非常に厄介だったのは、両サイドバックを高いポジションに置き、DFラインを押し上げてコンパクトに保ちながらアンカーのサンペール選手がセンターバックの間に落ちて後方からゲームを組み立てていく。そこにイニエスタ選手が巧みにボールを扱い攻撃のリズムを作りだす。開始2分、いきなりチャンスを迎えたのは神戸であった。右サイドに流れたイニエスタ選手のアーリークロスにうまく合わせた山口選手のヘディングシュートがクロスバーに直撃!神戸はハイプレスをかけてリスクを冒して、浦和陣内へと攻め込んできたのだ。

しかし、浦和も10分過ぎ頃から徐々に自分たちのリズムを取り戻し始めた。11分には、ピッチの幅を使って汰木康也選手から関根貴大選手へと展開し形を見せると、14分にも西川周作選手からのロングフィードをカットしようとした相手ミスを突いて関根選手が抜け出して入れたクロスのこぼれ球を小泉佳穂選手がシュートを放つも決めきれなかったが、神戸に隙が生まれ始めていたのだ。

そして16分、神戸のCKのクリアーボールを酒井選手が空振りすると、その隙をうまく小泉選手が拾い上げてカウンターに持ち込み、冷静にキャスパー・ユンカー選手へ。ユンカー選手はGKと1対1になりながらも、GKを引きつけて小泉選手へと展開し、小泉選手が無人のゴールへと流し込み浦和が先制点を決めた。

「GKとの2対1の場面でしたので、99%パスを出した方が良いという状況でした。FIFAのゲームをプレーしていても同じだ」とニヤリとユンカー選手は笑った。

浦和にリードを許した神戸は、さらにギアを上げてきた。18分には、西川選手の後方からの攻撃の組み立てにプレスを掛けた佐々木選手にボールを奪われてしまい、エリア内で西川選手の足が掛かり佐々木選手を倒してしまったが、ノーファールの判定。ルーズボールを拾ったイニエスタ選手がシュートを放つも、間一髪でトーマス・デン選手がクリア。そして22分、酒井選手のピンポイントのアーリークロスをドウグラス選手がしっかりとヘッドシュートを決めて1-1にされてしまった。

勢いづく神戸に対し浦和は我慢強く闘いながら、前半終了間際にカウンターから決定機を迎えた。45+2分、宇賀神友弥選手から斜めのクサビのパスを受けた小泉選手がDFの裏を狙うも菊池選手に引っかかってしまった。しかし、菊池選手がうまく処理できずにボールはユンカー選手の足下へ。ユンカー選手は、GKと1対1になるものの決めきれず・・・。

だが1分後の45+3分、必死にブロックを作りゴール前を固めて神戸の攻撃を阻止しながらも宇賀神選手はユンカー選手の動きを見逃さなかった。宇賀神選手からのロングボールを、ユンカー選手がDFと競り勝ち、再びGKと1対1に。今度は、GKの動きをしっかりと見極めて華麗なループシュートを決めて2-1で前半を折り返した。

前半に神戸が放ったシュートは9本であったが、浦和は4本だ。しかも浦和のCKはゼロだ。神戸のミスを突き、その決定機をしっかりと生かした。

後半も立ち上がりから神戸は、攻守にわたりアグレッシブに仕掛けてきた。しかし、浦和の牙城は崩れない。先にベンチが動いたのは神戸だ。58分、佐々木選手に替えてリンコン選手を投入。すぐさま浦和も61分に、ユンカー選手と山中亮輔選手に替えて、興梠慎三選手と西大伍選手を投入した。

すると、66分にイニエスタ選手からボールを奪った金子大毅選手から前線の興梠選手を狙ったロングボールはクリアーされるも、エリア内で小泉選手が拾いゴール前へと入れたクロスを前川選手にキャッチされたが、ゴールに入ったようにも見える微妙なシーンであった。神戸をさらに突き放すことができず迎えた77分、ペナルティーアーク左横からの直接FKをイニエスタ選手に決められて2-2と追いつかれてしまった。

1得点の攻防で緊張感が増す中、浦和は90分に宇賀神選手に替えて岩波拓也選手を投入して5バックにして守りを固め、2試合の合計で逃げ切りYBCルヴァンカップ・プレーオフステージの突破を決めた。

チームとしての意思疎通は浦和が勝る

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