浦レポ by 浦和フットボール通信

江坂の見つけた「空いている場所」と高さの威力 勝ち点3が大きかった【轡田哲朗レッズレビュー/J第24節鳥栖戦】

(Report by 轡田哲朗)

負けていた時の順位表を想像したら恐ろしい

浦和レッズは14日のリーグ第24節サガン鳥栖戦に2-1で勝利し、勝ち点を38に伸ばして3位グループとの勝ち点差を3にした。内容自体は敗戦で終わっても不思議ではない要素がいくつもあったゲームなのだけど、相手の決定力不足に助けられたとも言えるし、浦和の勝負所での集中力が勝ったとも言える。いずれにせよ大事なのは勝ち点3を得て終わったということだ。

それというのも、順位表を見れば勝ち点41だった鳥栖に勝利し、鹿島アントラーズが同じ41ながら得失点差で3位に上がった。ヴィッセル神戸も勝ち点41なのだけど、1試合少ないので潜在的には試合数が揃った時に勝ち点44になる可能性を残す。そして、名古屋グランパスが勝ち点40にいて、1試合少ない北海道コンサドーレ札幌が勝ち点35だから、彼らも潜在的に勝ち点38になる可能性を持つ。

だから、もしこの試合で浦和が負けていると、鳥栖が44で神戸が潜在的に44、間に3チーム挟まって、浦和と札幌は35で並ぶけど、札幌は1つ上に行く可能性を持つという状況で、残り試合が1試合減った。3位との勝ち点差が9になった上に挟まるチームが多くなり、とても大変な状況になったと言える。だから、この勝利は「数学的に」とても大きかった。

試合のメンバーは、キャスパー・ユンカーについて試合翌日にリリースがあった通りのことがあったとのことでメンバーから外れ、小泉佳穂も「試合に出られるコンディションではない」とリカルド・ロドリゲス監督が明言した。木下康介はさすがにまだ難しいとなると、興梠慎三が前線のファーストチョイスかと思われたが、リカさんの選択は明本考浩だった。理由はプレスに重きを置いたからということで、その機能性について私は多く聞かれた意見と違ってとても疑問を持っているけど、それは別にしても彼はとにかくよく走って戦った。

ベンチから言われずに見つける江坂と、鳥栖の修正

鳥栖のシステムは3-1-4-2としている人が多いけれども、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督のチームと似たような感じで、マイボールの時も相手ボールの時も、その数字の並びにはならない。鳥栖のマイボールは2-2-6に移行する過程で、ボランチが縦関係を作ることで3バック化することもある。要は後ろが4枚、前が6枚で組む。相手ボールは5-3-2のセットが基本だけど、3のうち1枚は人数を合わせたプレスに出るので5-2-3になることもある。ちょっと複雑なのだけど、浦和はこれに苦しんだし、タイトルにもあるように江坂はこれをうまく攻略した。

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