浦レポ by 浦和フットボール通信

先制点は今季のベストゴール候補 ゴールラッシュを生んだ重要な走り込み【轡田哲朗レッズレビュー/J第33節柏戦】

(Report by 轡田哲朗)

ショルツと岩波、平野と柴戸の長所が違う良い関係

浦和レッズは22日にJ1第33節の前倒し開催「金J」で柏レイソルに5-1で勝利した。あまりそのような印象はなかったが、金曜日開催での勝利は4年ぶりということだ。いずれにしても、重要な勝利と大量得点の両方を得られたことは、シーズンの最終盤を前にしてチームに大きな成功体験を与えたのではないだろうか。

この試合では、前節のガンバ大阪戦を内転筋の違和感で欠場したキャスパー・ユンカーがスタメンに復帰した。彼は8月下旬くらいに日本の暑さも多少は影響しただろうけどかなり調子を落としていて、その間にゼロトップ型の選手起用が結果を出したことで、少しプレータイムが減っていた。ただ、この柏戦を見ると、前回のレビューでも記したように太陽と惑星の関係のようにして、核になる選手、重要な位置を取りにいく選手がいるからこそ、他の選手が生きるという側面は感じられたように思う。リカルド・ロドリゲス監督は9月の選手起用について、「結果を出している選手たちが出場を続けるのはフェアなもの」という表現をしたから、同様に「得点を重ねた選手たちが出場するのはフェア」だろう。しばらくは、このパターンの起用が基本になっていくのではないだろうか。

前節のガンバ戦と同様に、左サイドバックの山中亮輔の良さが出た試合でもあった。シーズン前半戦よりも彼の良さが際立つのは、左センターバックに入るアレクサンダー・ショルツにドリブルで持ち運ぶビルドアップへの関わりがあり、右センターバックの岩波拓也は逆に自分の前を少し空けたところからのロングフィードが得意なことから、サイドチェンジが飛んでくる。ポゼッションを基調にするチームにとって、センターバックとボランチは攻撃のファクトリー(工場)だから、ここの生産力、ボールの安定供給ができるかは非常に大きい。その意味ではショルツと平野佑一がチームに加わった良さは、少し長い負傷から明けた山中がどれだけ生かされているかの比較をすると、その効果が見やすいのではないか。

また、そのような彼らと組んでいる岩波や柴戸海は、今まで課題だったような部分を彼らの長所から学んでいる。かつて日本代表を率いた岡田武史さんが対談で経験談として話していたのは、「全く守備のできないボランチがいて、守備のところをうるさく言ってもできるようにならなかった。それなのに、横に守れる選手を置いたら守備が上手くなっていった」という趣旨のことだった。岩波は酒井宏樹にも要求を受けたこともあるが、少しずつドリブルで持ち上がるプレーを出すようになってきたし、平野と柴戸の2人に関して言えば互いの長所の方向性がかなり違うことによって、良さを吸収し合う関係を築けているように見える。

先制点は作りから崩しまで最適解の連続だった

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