浦レポ by 浦和フットボール通信

G大阪を破って準決勝進出 共通意識の下でゲームをコントロール【河合貴子 試合のポイント/天皇杯準々決勝G大阪戦】

(Report by 河合貴子)

3大会ぶりのベスト4進出

ホーム埼玉スタジアムで受けた雪辱を、見事に敵地で果たした天皇杯準々決勝のG大阪戦。2-0の完封勝利を飾り天皇杯準決勝進出を決めた。

63%もボールを支配しチャンスを作りながらもゴールが遠く、アディショナルタイムにやっとPKから先制点を奪えたと思った瞬間に、勝利が手のひらからこぼれ落ち、劇的なPKで1-1の引き分けとなったリーグ戦のG大阪戦から11日後の対戦であった。

浦和はキャスパー・ユンカー選手を、G大阪はパトリック選手をスタメンで起用するところなど、リーグ戦とは違い1発勝負の天皇杯だけに得点力にかける両チームの思いが伝わってきた。4-4-2のブロックを作りながら前線から激しくプレスを掛けてくるG大阪のプレスを冷静にかいくぐる浦和であったが、立ち上がりから目まぐるしい展開になった。

7分、セカンドボールを拾った小野瀬選手からパスを受けた柳澤選手のクロスに、パトリック選手がヘディングシュートを放ってきた。このヘディングシュートをキャッチした西川周作選手が、すばやく汰木康也選手へと展開しカウンターを仕掛けたのだ。しかし、汰木選手のシュートはDFにブロックされてしまった。すると、今度はG大阪がウエリントン・シウバ選手のアーリークロスをパトリック選手がしっかりと収めて、宇佐美選手が浦和ゴールへと襲い掛かってきた。だが、西川選手が宇佐美選手のシュートをファインセーブしてゴール死守し先制点を許さない。

この目まぐるしい展開の中で先制点を決めたのは浦和であった。10分、東口選手のゴールキックをパトリック選手と競り合った柴戸海選手のこぼれ球を拾った平野佑一選手が素早くDFの背後を狙うと、ユンカー選手が抜け出したドリブルシュートがゴールネットに突き刺さった。

アシストした平野選手は「正直、キャスパーのことは全然見れていなかった。あのゴールはキャスパーに感謝しかないです」と話すほど、ユンカー選手のポジショニングの取り方からゴールに至るまでの過程は素晴らしいものであった。

もちろんG大阪側は、浦和が大勝した柏戦を分析し、平野選手からDFの背後のユンカー選手を警戒していた。松波監督が「準備をしてきましたが、対策を練ったとしても相手のクオリティーが高かったということもあります。ただ、決して守れなかった形ではなかったと思いますので、残念な失点シーンでした」とユンカー選手のクオリティーの高さを評価しながらも悔しそうに話していた。

この先制点で、浦和は攻撃を組み立てる時間、仕掛ける時間のメリハリを付けながら試合をうまくコントロールすることができた印象だ。前半のうちに追いつきたいG大阪は前線からのプレスが激しくなり、浦和が徐々に押し込まれてしまう時間帯もあったが、虎視眈々と追加点を狙っていた。

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