浦レポ by 浦和フットボール通信

7カ月の進歩を感じたゲームと、謎に包まれたままのこと【轡田哲朗レッズレビュー/J34節川崎戦】

(Report by 轡田哲朗)

順位表を見ればギリギリのところで耐えた結果

浦和レッズは3日のリーグ第34節、川崎フロンターレ戦に1-1で引き分けた。結果的にこの試合で川崎のリーグ優勝は決まったが、それはあくまでも日程の巡り合わせと別のチームの都合であって、浦和がAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を得られる3位を目指す状況では本当にギリギリの結果だった。ヴィッセル神戸が勝ち点で5ポイント上になったが、得失点差の関係から実質的には5.5ポイント差のようなもので、もう勝ち点1少ない状態なら6.5ポイント差の計算になり、それでは逆転に最低でも3試合必要になる。神戸が2敗するかどうかは別にして、この差はギリギリのラインだ。

もう1つ踏み込むなら、4位の名古屋グランパスとは勝ち点2差、5位の鹿島アントラーズとは同勝ち点だが、この2チームとは直接対決があるので、その2試合に勝てば自力で4位になれる。それは天皇杯の結果次第でACL出場権獲得につながる可能性があるから、名古屋と1試合で確実に逆転できる状況で耐えたことは意味がある。

リカルド・ロドリゲス監督はこの試合で小泉佳穂と江坂任を前線に並べて、キャスパー・ユンカーが登録メンバー外だった。この試合は優勝が決まったこともあって川崎が主役になるタイミングなので、試合後会見の限られた時間とあまり良好ではなかった環境ではその理由を確認することはできなかった。ただ、5日にはリカさんの定例会見があるので、そこでは試合中に負傷した柴戸海や、4日の日本代表メンバー発表会見では問題ないとされた酒井宏樹の状況も合わせて確認する機会はあると思う。

セットした相手に対してゴールキックから作った決定機

この試合はリカさんが振り返った言葉がそのまま試合を上手く総括するので、まずはそれを提示したい。

「前半は難しい展開になってしまったと思います。ボールを持ちながら相手陣内に行く回数や時間が少なかったと思います。その理由としては、相手にボールを持たれて深いところまで押し込まれ、奪い返しても彼らが素早い切り替えで奪い返しに来て、そこで失ってしまうという循環がありましたので、なかなか我々が持っていきたい展開にはできませんでした。

後半に関しては、前半よりもボールを持てる時間は増えましたし、大きなチャンスは作れませんでしたけど、相手のゴール前に迫っていく回数は前半より増えたと思います」

割と大事だと思っているのは、好転したと捉えられる後半ではなく具体的なチャンスは前半にあったこと。その場面は、天皇杯の決勝までいけばもう1回ゲームをする可能性があるし、きちんと川崎の弱点や浦和の成長した部分を示すものだったので紹介したい。7カ月前に0-5で完敗した相手であり、前半はかなりやられた印象を持つ人も多いだろうけど、意外と紙一重のところで浦和が先手を取れてもおかしくないところがあった。

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