浦レポ by 浦和フットボール通信

鹿島に完封負け ポジショナルプレーを機能させるために足りなかったこと【河合貴子 試合のポイント/J35節鹿島戦】

(Report by 河合貴子)

6ポイントマッチに敗れる

勝たないといけない試合を、またして落としてしまった。浦和を愛する人々いとって、辛く切ない秋の夜長になってしまった。まるで、前節の川崎戦の失点シーンの再現を見ているかのようなCKの流れからの手痛い失点。ACL出場権獲得争いの生き残りを懸けた鹿島との闘いは、この手痛い失点で勝敗を分けることになってしまい0-1で敗戦してしまった。3位の神戸との勝ち点差が8ポイント、4位に浮上した鹿島と5位の名古屋は勝ち点が並び、浦和との勝ち点差は3ポイントと残り3試合で崖っぷちに追い込まれた。

浦和の出鼻をくじくように、開始早々に鹿島がショートカウンターを仕掛けてきた。アレクサンダー・ショルツ選手のクリアーボールを拾った三竿選手のダイレクトパスを、岩波拓也選手がクリアしたところを上田選手が素早く拾って土居選手へと預けると、勢いよく土居選手が浦和のゴールへと襲い掛かってきた。だが、西川周作選手が好セーブでゴールを死守した。試合開始、わずか16秒の出来事であった。

この決定機を防ぐと浦和は、両サイドバックが高いポジションを取り、平野佑一選手がセンターバックの間に下りて攻撃を組み立てリズムを作り始めた。しかし、鹿島の4-4-2のブロックも非常に距離感が良い。ボールを奪い、奪われ、また奪うと両チーム共に攻守の切り替えが素早く一進一退の攻防となる中、徐々に中盤で三竿選手とディエゴ・ピトゥカ選手がうまくバランスを取り浦和のクサビのパスを封じ込め主導権を握り始めた。

そして15分には、ディエゴ・ピトゥカ選手の飛ばしのパスをバイタルエリアで安西選手が受け、その戻しのパスをアルトゥール・カイキ選手が冷静にプレスを交わしながらシュートを放ってきた。さらにその1分後には、安西選手がカットインからシュート。21分には、安西選手のクロスに合わせてファン・アラーノ選手がヘディングシュート。33分、土居選手のプレスバックでボールを奪うと素早い三竿選手からのクサビの縦パスを受けた上田選手が果敢にシュートを放ってきた。

完全に鹿島の流れである。ちなみに浦和が前半に放ったシュートは、ゼロだ。そして、36分にファン・アラーノ選手の右CKのこぼれ球をエリア内で拾った上田選手が放ったシュートがファーサイドへと流れたところを、関川選手がチョコッと障りコースが変わったところに土居選手に飛び込まれてしまい先制されてしまった。ゴール前でゾーンディフェンスの隙を突かれただけに、もったいない失点であった。

1点のビハインドを跳ね返そうと浦和は、ハーフタイムにユンカー選手と汰木選手に替えて、小泉佳穂選手と大久保智明選手を投入し、『浦和式ゼロトップ』にして攻撃に変化を付けて挑んだ。だが、「後半、相手が立ち位置をちょっと変えてきたりとか、そういったことは想像もしてました」と相馬監督は浦和のシステム変更は想定内だったのだ。

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