浦レポ by 浦和フットボール通信

整った89分とカオスの8分 3年ぶりのタイトルを通過点に【轡田哲朗レッズレビュー/天皇杯決勝 大分戦】

(Report by 轡田哲朗)

ユンカー、小泉、江坂の同時スタメン

浦和レッズは19日の天皇杯決勝で大分トリニータに2-1の勝利を収め、3大会ぶりの優勝を果たした。国内で最も伝統のある大会だが、Jリーグが始まってチーム名が「浦和レッズ」となってからでは、4回目の頂点に立った。

浦和からすれば、クラブとしてもこだわりのあるアジアの舞台に返り咲きつつ、3年計画を打ち出してから中間年の2シーズン目にタイトルを取り、翌シーズンのリーグ優勝という目標に対してのチェックポイントとして喜ばしい結果を得ることができた。関根貴大は試合後に、この優勝を「終わりでもあり、始まりでもある」という表現をしていたけれども、過去のタイトルと比較した時に、この瞬間の達成感よりも先を見据えたものが強いという点では珍しいのかもしれない。

プレビューの予想はかなり外してしまったけれども、リカルド・ロドリゲス監督は現在のチームで攻撃的に変化をつけられるタレントの3人、キャスパー・ユンカー、江坂任、小泉佳穂を全員スタメンのピッチに送り込んだ。ボールを持つ時間が長くなりそうな想定がされる中でも、ボランチのスタメンに平野佑一は入れなかった。一方の大分も、3バックには戻さずに準決勝の川崎フロンターレ戦と同様の4-3-1-2でスタートしたので、浦和が5バック変化を求められる場面は少なかった。

良い状況を維持した前半と、だからこその物足りなさ

試合は立ち上がりからわずか6分で、決勝戦の緊張感が解き放たれないままの時間帯に小泉と関根が右サイドを切り崩し、そのラストパスを江坂が蹴り込んで浦和に先制点をもたらした。こうやって小泉がいきなりゴールに絡んでくるあたりが、リカさんのスタメン選定がハマった部分でもありながら、この1点は一気に展開を楽にした。というのも、浦和ボール時をどう過ごすかという点で、大分の片野坂知宏監督が選択したスタメン構成はあまりハマらず、少し浦和は楽をしたと言えたかもしれないからだ。

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