浦レポ by 浦和フットボール通信

それは構造の問題か、それとも構成要素か 苦戦する試合の共通点【轡田哲朗レッズレビュー/J第4節鳥栖戦】

(Report by 轡田哲朗)

試合内容の話をしているのか、時系列の話をしているのか

浦和レッズはリーグ戦の6試合目、13日に戦ったサガン鳥栖とのアウェーゲームを0-1で敗れた。今季はそれまでの5試合、どちらかと言えば浦和が勝利してもおかしくない試合を1勝1分3敗というもったいない成績で過ごしてきたが、この試合に関して言えば鳥栖が1点差で勝利したという結果は内容に対してそれなりに公平なものだったと言えるだろう。

リカルド・ロドリゲス監督は「試合を通しての感想としては、どちらに結果が転んでもおかしくなかった。明本の決定的なチャンスが決まっていれば、結果が我々の方に転がっていてもおかしくなかった」と話した。これにはコメントの読み方というものがあって、リカさんはあくまでも試合を時系列でみた時に浦和に良い結果が出る「世界線」みたいなものがあったと言っているのであって、浦和の勝利が妥当な内容だったとは言っていない。その言葉にある明本考浩がゴール前の決定機を失敗した瞬間はスコアが0-0だったので、そこで1-0になっていると全く違う試合展開になった可能性があるよねという話をしている。

実際に、鳥栖戦の前の浦和がどのようにして勝ち点を落としてきたかと言えば、決めるべきところを決めずに試合時間が進んでいき、相手が1つ目のチャンスをものにする。そのような意味で、浦和がこの試合で逆の立場になって結果を得る可能性もあったという、実際に起こったこと、あるいは起こり得たことを振り返っているに過ぎない。

日本人、外国人を問わず、監督会見ではこのようなコメントをよく目にすると思う。どんな監督も、基本的にはある試合に対して良い結果を得る可能性があったことを言葉にするものだから、それが全体を大きく捉えて話しているのか、試合の時系列に沿った話をしているのかは冷静に読み取った方が良い。これは、冒頭の部分で記しておきたい。

それはそれとして、このゲームでは前線に江坂任と小泉佳穂が入る形で、明本を左に開いた。試合後会見の「前半は私たちが狙いを持っていた、使いたいスペースをうまく使えていなかった。そうした解釈の違い、狙ったプランとは違うようなやり方をしてしまった」という言葉を見ても、明本の配置の狙いはリーグ開幕戦の京都サンガFC戦に近い意味合いがあったのではないか。ある意味では、相手のストロングポイントと真っ向からぶつかるのではないやり方を志向したものの、中では選手の特性もあって自分たちからハマりにいってしまったのかもしれない。これは、少し長い時間リカさんと話す機会でもないと正確には分からないだろう。

やってしまった「狙いと違うこと」とはどんな部分か

浦和はボールを持ち運ぶときに定型になることは少なく、岩尾憲や伊藤敦樹が最終ラインを出入りしながら何とかして相手をずらそうという姿勢は見えたものの、明確なマンマークとまでは行かないものの、5-2-3型からマッチアップするゾーンを分かりやすくする鳥栖のやり方の中で、相手につかまりやすくなってしまった。

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