出場機会と先を見据えたもの 選手起用から考えられることは【轡田哲朗レッズレビュー/ACL2022山東泰山戦】
(Report by 轡田哲朗)
工藤がスタメンで木原は途中出場でプロデビュー、牲川もピッチに
浦和レッズは4月30日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ最終戦、山東泰山(中国)とのゲームに5-0で勝利。6試合を4勝1分1敗で終えて大邱FC(韓国)と同成績ながら直接対決の結果で下回り、2位になった。それでも、複雑なので詳細は割愛するが5グループに分かれて行われた全組の2位のうち決勝トーナメントに進める条件を満たした3チームに入ったため、ノルマとも言えた突破を果たした。首位か2位かはともかく、その突破自体は前の試合で決まっていたので、この試合は消化試合だったと言える。それであれば、どんな有効活用ができるかということがこのゲームの主眼になった。
スタメンにはセンターバックに今季ユースから昇格した工藤孝太が入った。昨季もルヴァン杯の試合に二種登録の時期に出場しているのでプロの公式戦に初出場したわけではないが、プロ契約して正式に昇格して初の試合だったわけだから非常に喜ばしいことだったし、持ち味の1つである強気に縦パスを入れていける良さは出していた。
また、前線では江坂任と松尾佑介が組んだ。小泉佳穂と組むとファーストトップの位置を取ることが多い江坂だが、松尾が前で江坂がセカンドトップのような役割分担だった。後になってキャスパー・ユンカーの負傷と薬指の根元の手術が明らかになって、それを念頭に置くと納得できる部分もある。このACLの中でアレックス・シャルクが最前線に入る形を試す時間はすでにあったので、スピード型の松尾を前に置いたパターンと起用を模索しておきたかったのだろう。それはプロデビューになった木原励のプレータイムを15分くらい犠牲にしたかもしれないが。
GKは西川周作が第5戦に続くスタメンで、牲川歩実が途中出場で約30分間のプレータイムを得た。ボールに触る回数や守備機会の数から大きなものを得られたかは何とも言えないが、リカルド・ロドリゲス監督にはいわゆる「みんなで戦いに行ったんだよ」というメッセージとチームビルディングに近い狙いもあったのではないかと思う。この6試合をミニキャンプのように捉える見方もあるかもしれないが、これだけ試合が多いうえに中2日だとリカバリーと10人程度が負荷をかける分断されたトレーニングの連続なので、それほどチームでまとまって何かをできるわけではない。とはいえ、半月ほど異国の地で戦った一体感はチームに残るだろうし、少なくとも悪さをすることはないだろう。
背後を狙える松尾のストライカー起用、木原の面白いところ
(残り 2696文字/全文: 3797文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ