浦レポ by 浦和フットボール通信

積み上げの価値を感じたゲーム 役割を果たした選手、結果を残せた選手の存在【轡田哲朗レッズレビュー/J第21節FC東京戦】

(Report by 轡田哲朗)

普段の4-3-3ではなく4-4-2でスタートしたFC東京

浦和レッズは10日のJ1第21節、FC東京戦に3-0で勝利した。西川周作がJ1通算170試合無失点の最多記録を達成したことも喜ばしい。このような記録は錆びないものであって、プロのキャリアで残せる可能性がある記録は常に達成できた方が良い。そして、これで6月のインターナショナル・マッチウィークによる中断明けの5試合が3勝2分になった。何よりも、この5試合で1回も無得点の試合がないというのは1つ自信につながってほしいところだ。何しろ、その前の16試合のうち8試合が無得点だったチームなのだし、ここ2試合を見てもゴールという結果がついてくることで、その前のチャンスを作る部分に改善がみられるところもある。結果が内容を引っ張る事象はこのようなところにも表れてくると言える。

このゲームでは小泉佳穂がセカンドトップの位置を取って、松尾佑介が最前線に入る形になった。あまり数は多くなかったが相手ボールの静的なビルドアップには彼らが2トップとして振る舞う、リカルド・ロドリゲス監督が就任して以降の浦和がベーシックに持っている形でゲームに入った。一方のFC東京は4-4-2ベースの入りで、浦和ボール時はレアンドロとディエゴ・オリヴェイラが縦に並ぶような形が多くなった。この辺はアルベル監督の記者会見に意図が語られているので、そちらを参照してもらえればいいと思う。彼は前回の対戦でも浦和の後方中央を使ったビルドアップをかなり気にしていたので、4-4-2で試合に入ること自体はそこまで驚くことではなかったと思う。アルベル監督がこれだけハッキリと言葉にしていることもそうだし、少なくとも前半のFC東京の立ち位置と意図を見れば「4-3-3でスタートした」はダウトになる。

ただ、浦和で言うところの鹿島アントラーズ戦なんかがそうだったけれども、そのチームの基本的なシステムが頭に色濃く残っているとそこに引っ張られがちになることはある。ニュートラルに見れば開始5分もしないでFC東京が4-4-1-1で守っていることは理解できるだろうけど、このチームが4-3-3を多用するという頭があるとそれを素直に受け入れにくいこともある。この辺はサッカーの面白くも難しいところの1つだ。

相手の形に応じたビルドアップの変化は積み上げの価値を示す

そういうわけで、まずは攻撃のところでの基本的な流れを見ると浦和はセンターバックの2枚に加えて岩尾憲が三角形を形成するような部分が基本にある。両サイドバックのうちどちらかがヘルプするかどうかは、相手の出方によって決まる側面がある。この試合だとFC東京が岩尾の番人としてレアンドロを配置し、オリヴェイラが岩波拓也とアレクサンダー・ショルツの間で攻撃の方向制限を行う役割分担だったのだろう。しかし、浦和の3人がこの状況を伊藤敦樹や他の2列目の選手のポストプレーを使いながら突破できる場面が多くなったので、最初の時点では浦和が楽にボールを運ぶ状態を作ることができた。

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