浦レポ by 浦和フットボール通信

見せたのは王道を征く勝ち方 チームの大きな成長を示すもの【轡田哲朗レッズレビュー/ACL準々決勝 BGパトゥム戦】

(Report by 轡田哲朗)

先発10人がスライドして臨んだゲーム

浦和レッズは22日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝、BGパトゥム(タイ)戦に4-0で勝利した。立ち上がりから2回ほどゴールネットを揺らした場面がビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の確認を含めてノーゴールになった。その判定の是非は問わないが、いわゆる「嫌な雰囲気」になりかねないところを断ち切るかのように前半だけで2得点して力を見せつけた。

この試合のスタメンは19日のラウンド16、ジョホール・ダルル・タクジム(JDT、マレーシア)戦から中2日だったが10人がそのままスライドした。変更は大久保智明から関根貴大の1枚のみで、大久保については「コンディション的に難しかった」(関根)ということだから、本当に最低限の変更にとどまったと言えるだろう。そして、おそらく準決勝の全北現代(韓国)戦でも可能な限りスタメンはそのままスライドしていくだろう。伊藤敦樹が後半に足をつって、安居海渡の投入の際に岩尾憲を休ませる予定だったのが違う選択肢になったことはちょっとした誤算だったが、それ以外は割と早い時間帯で交代枠を使えているので、想定されたよりは厳しいコンディションにならずに済むのではないだろうか。

パトゥムは浦和で言うとベガルタ仙台の監督という印象が強そうな手倉森誠監督が率いていて、その仙台時代のイメージが少し残るような4-4-2のコンパクトブロックで構成されていた。どちらかと言えば「待ち」の体系だったので多少の苦労はあったが、今の浦和は少し時間があればこのタイプの相手を何とかできる。もっとも、本当に取り消されるべきか疑問の残る2点を前半25分までにゴール内に入れている時点で、「得点までに時間がかかった」という評価が正当なのかは分からないが。

「ライン間」を横から使った先制点

典型的な4-4-2に対するビルドアップということで、この試合では4-3-3への変化だけでなく過去にあったように3-2-5や3-1-6型に変化するような形を織り交ぜる機会も多くなった。いずれにしてもハーフウェーラインから前くらいまで前進することには苦労しておらず、もはやここをピックアップして取り上げる時期は過ぎたのかもしれない。このようなコンパクトな4-4ブロックに対しては、よく「ライン間」という要素が攻略のカギとして言われる。そう言われると、日本人の有名どころだと香川真司、過去の浦和だと武藤雄樹、今のチームだと小泉佳穂といったような、相手のブロックの中にできる三角形や四角形の間に入り込んでボランチからのパスを受ける印象があるかもしれない。

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