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AFCカップ、東南アジア地区決勝で史上初のベトナムダービーが実現

熱戦が続いているAFCカップ2019。6月25日と26日に行われた東南アジア地区ノックアウトステージ準決勝2ndレグで、ハノイFCがセレス・ネグロス(フィリピン)を、ベカメックス・ビンズオンがPSMマカッサル(インドネシア)をそれぞれ接戦の末に下して決勝に駒を進めた。アジアサッカー連盟(AFC)主催大会で、ベトナムのクラブ同士が東南アジアの頂点をかけて激突するのは史上初のことだ。

AFCカップは、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の下のカテゴリーに位置する国際大会で、ヨーロッパで言えば、UEFAチャンピオンズリーグとUEFAカップの関係に当たる。べトナムは過去、ACLで惨敗してきた歴史があり、初参戦となった2004年大会は、ベトナムからリーグ王者とカップ王者の2チームが出場できたが、その後はアジアの舞台で低迷を続け、2016年大会を最後にACLのストレートイン枠を失っている。

ベトナムのサッカーファンにとってACLでの惨敗は悪夢以外の何物でもない。2005年大会のグループリーグでは、ホアラム・ビンディンFCが釜山アイパークに0-8、2006年大会のグループリーグでは、SHBダナンがガンバ大阪に0-15という歴史的大敗を喫している。

相手が韓国や日本のようなアジアの強豪国であれば、実力の差であると納得できるが、同じ東南アジアのライバルにも信じがたい大差で負けたことがある。2009年大会では、ダムフー・ナムディンFCがタイのクルン・タイ・バンクFCに1-9、同年のAFCカップでは、ハノイACBがマレーシアのケダFAに0-7で敗れている。

ベトナムのサッカーファンにとってAFC主催のクラブ選手権に良い思い出など全くないと言っても過言ではない。アジアの舞台で全く結果が残せないベトナム勢はACLストレートインの枠を失い、現在はリーグ王者でも予選2回戦からの出場を余儀なくされている。本大会に駒を進めるためには、プレーオフで日本、韓国、中国の東アジア勢を破る必要があるため、ベトナム勢の現在のアジアでの主戦場は実質、下のカテゴリーであるAFCカップとなっている。

長い間、「ベトナムのクラブはアジアの舞台では輝けない。」と言われてきた。しかし、そんな冬の時代も終わり告げようとしている。若手育成に積極的な投資をしてきたハノイFCとベカメックス・ビンズオンが、AFCカップ東南アジア地区の決勝まで勝ち上がったのだ。ベトナム勢はこの数年、AFCカップのノックアウトステージに進むことすら出来なかったので、サッカー関係者の喜びもひとしおだ。

勝ち上がった2チームは、ベトナム南北を代表する強豪クラブ。ハノイFCは昨季のリーグ戦で圧倒的な強さを見せて史上最速優勝を果たした。新旧のベトナム代表選手がスタメンにずらっと顔を並べた国内最強クラブだ。一方のビンズオンはかつて、他クラブからスター選手を買い漁り、“ベトナムのチェルシー”と呼ばれた金満クラブだったが、数年前に路線変更。若手を辛抱強く育てて、生え抜きのベテランたちと融合させた堅実なチームを作った。

AFCカップ東南アジア地区決勝は1stレグが7月31日、2ndレグが8月7日に行われる予定。この勝者が、東アジア代表4.25体育団(北朝鮮)、南アジア代表アバハミ・リミテッド・ダッカ(バングラデシュ)、中央アジア代表FKアルティン・アシル(トルクメニスタン)との地区間プレーオフに進出。ここで勝ち抜けば、最後は西アジア代表チームとの決勝となる。

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