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レ・コン・ビン物語 “ベトナムの英雄”と呼ばれた男 第12回 逃れられなかった”天才”ファム・バン・クインとの比較

レ・コン・ビンが自身の半生をつづった自伝『Phut 89(89分)』。ここには“ベトナムの英雄”と呼ばれた男の幼少期から現在までが記されている。国内最貧困地域の一つゲアン省で真っ黒になってボールを追いかけた少年時代、プロサッカー選手となり、人気歌手Thuy Tienと家庭を築くまで。自伝の中では、幼少期のことだけでなく、八百長や暴力などVリーグを取り巻く様々な問題についても赤裸々に語っている。出版社が発売を記念して、一部の項を公開。その内容を連載で紹介していく。

キャリアを通して常に比較された“天才”のファム・バン・クインと“努力”のレ・コン・ビン

ベトナムサッカーの歴史で最も悔やまれている名選手。それがSLNAが生んだ偉大な“天才”ファム・バン・クインだ。もし彼のプロキャリアがもう少し長ければ…と思わずにはいられない。彼は東南アジアサッカーの枠を越えてアジアサッカーのスターになれるタレントだった。けれどもね…「もし」や「けど」でパリはボトルに入るだろう。(※フランスのことわざで、仮定の話をしすぎても仕方がないという皮肉)

 たしかにファム・バン・クインの人生とプロキャリアは、多くの議論を引き起こさせるもの。でも、僕にとってのファム・バン・クインは良き先輩であり、強いインスピレーションを与えてくれる素晴らしい人物だ。正直に話すと、僕のプロキャリアは、“天才”ファム・バン・クインとの比較から最後まで逃れることは出来なかった。僕はそれを受け入れ、モチベーションにして這い上がった。

今なおベトナムサッカー史上最高の選手との評価を受けているファム・バン・クイン。

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