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レ・コン・ビン物語 “ベトナムの英雄”と呼ばれた男 第14回「意志の力は運命に勝る」

レ・コン・ビンが自身の半生をつづった自伝『Phut 89(89分)』。ここには“ベトナムの英雄”と呼ばれた男の幼少期から現在までが記されている。国内最貧困地域の一つゲアン省で真っ黒になってボールを追いかけた少年時代、プロサッカー選手となり、人気歌手Thuy Tienと家庭を築くまで。自伝の中では、幼少期のことだけでなく、八百長や暴力などVリーグを取り巻く様々な問題についても赤裸々に語っている。出版社が発売を記念して、一部の項を公開。その内容を連載で紹介していく。

「意志の力は運命に勝る。人生は変えられるものだ」

僕はファム・バン・クインと正反対のタイプだった。僕には彼のような天賦の才はないし、スターになるべくして生まれたわけでもない。でも、意志の力は運命に勝るし、人生は変えられるものだという強い信念があった。ファム・バン・クインは明るい星のもとに生まれてきたが、彼の転落は自らの生活が招いたもので、いわば必然だった。人々がファム・バン・クインの転落はレ・コン・ビンにとって幸いだったとか、おかげでチャンスが巡ってきたとか話すのを聞いて苦い思いをした。しかし、彼らは素晴らしいインスピレーションを与えてくれる偉大な先輩が挫折するのを目の当たりにして僕がどれほど悲しんだかを知らないだろう。

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