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Vリーグ2020戦力分析、高望みは出来ないかつての王者クアンナムFC

「我々の2020シーズンの目標はトップ8に入ること、上位争いに絡めるとは考えていない」クアンナムFCのグエン・フップ会長が語った目標だ。随分と控えめな発言だが、クアンナムは今オフに目立った補強もしておらず、一部の主力選手はベテランの域に差し掛かっているため、現実的な目標と言えるのかもしれない。

主力の高齢化が進むクアンナムFC

昨シーズンは9位でフィニッシュして、なんとか1部残留を決めたクアンナムFC。2017シーズンの王者は、敢えて高い目標を設定せずに来る2020シーズンを1試合ずつ慎重に戦っていく方針だ。トップチームの顔触れは、昨季とあまり変化がない。新顔の大半は下部組織から昇格した若手たちだ。新戦力で即戦力となり得るのは、助っ人のMFオリビエラ・ピントぐらい。ブラジル出身の同選手は、そのテクニックが高く評価されている。

一方で、クアンナムFCを去った選手も数人いる。サブ組の移籍は、それほど大きな影響はないだろうが、得点源だったナイジェリア出身帰化FWホアン・ブー・サムソンの退団は、大きな戦力ダウンだ。昨季途中の加入からゴールを量産して1部残留に貢献したサムソンが抜けたことで、ブラジル人FWロドリゴ・ダ・シルバ・ディアスとFWハー・ミン・トゥアンにかかる攻撃面の負担が大きくなった。

クアンナムには、2017年にリーグ優勝を経験したメンバーも多数残っている。MFディン・タイン・チュン、MFグエン・フイ・フン、DFフイン・タン・シン、MFファン・タイン・フンらがそれに当たる。このうち、フイン・タン・シンは将来が期待される若手だが、他の選手は既に30歳を超えている。技術的な衰えは見えないが、長いリーグ戦では、高いパフォーマンスを維持するのが難しくなってきている。加えて、攻守の要であるグエン・フイ・フンは、怪我明けでリハビリ中の身だ。代わりを務めることが出来る選手もいるにはいるが、ベトナム代表でも主力クラスだった同選手を超えるかと言われれば答えはノーだ。

ダークホースの真骨頂を見せられるか

これらの要素を踏まえると、フップ会長が語ったトップ8というのは、納得できる目標だ。しかし、クアンムFCは、期待されていないシーズンほどダークホースとして輝きを放つチームであり、このことは過去のシーズンの成績が証明している。誰も優勝するとは思っていなかった2017シーズン然り。今シーズンは何度ジャイアントキリングを見せてくれるのかに期待しようではないか。

クアンナムFC
会長:グエン・フップ
監督:ブー・ホン・ベト
本拠地:クアンナム・スタジアム(SVD Quang Nam:1万5000人収容)
昨季成績:9位
戦力評価:C+
今季予想:6位

移籍選手
OUT:
GKチャン・ディン・ミン・ホアン(ビンディン)、DFチャン・バン・ホック(引退)、MFガブリエル・デイビス(フリー)、FWホアン・ブー・サムソン(タインホア)

IN:
MFチン・ズイ・ロン(フリー)、オリビエラ・ピント(※ブラジル)、MFグエン・バン・ドー、MFグエン・バン・チャン、MFボー・バン・トアン(下部組織)

今季所属選手
GK:
グエン・バン・ビン、チャン・バン・チエン、ファム・バン・クオン
DF:
ディン・ベト・トゥ、フイン・タン・シン、チャン・バン・タム、ダオ・ズイ・カイン、チャン・ミン・トアン、チン・バン・ハー、レ・ドゥック・ロック、グエン・アイン・フン、ルーカス・ドス・サントス(※ブラジル)
MF:
ダン・フー・フオック、ディン・タイン・チュン、ファン・ディン・タン、チン・ズイ・ロン、グエン・ホアン・クオック・チー、グエン・フイ・フン、グエン・ニュー・トゥアン、ゴー・クアン・フイ、ファン・タイン・フン、ボー・バン・トアン、グエン・アイン・トゥアン、グエン・ホン・ソン、オリビエラ・ピント(※ブラジル)、グエン・バン・チャン、グエン・バン・ドー
FW:
ハー・ミン・トゥアン、グエン・バン・タイン、ロドリゴ・ダ・シルバ・ディアス(※ブラジル)

開幕5試合の対戦カード
クアンナム(H)-HCMC
ハイフォン-クアンナム(A)
クアンナム(H)-タインホア
SHBダナン-クアンナム(A)
クアンナム(H)-ビンズオン

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