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Vリーグ2020戦力分析、栄光に向け歩み始めたベトテルFC

ベトテルFCにとって2019シーズンはいわば試運転だった。伝説的な国民的クラブ「テーコンFC」の正当な末裔であるベトテルFCは、昨シーズンに続いて今オフにも大型補強を行っており、上位進出を虎視眈々と狙っている。

戦力充実のベトテルFC、上位争いに食い込めるか

Vリーグの新興勢力となるためのベトテルFCの計画は着々と進んでいる。今オフには、現役時代にテーコンFCで活躍し、指導者としてハイフォンFCを強豪に育てた名将チュオン・ベト・ホアン氏を新監督に招聘。かつて繁栄を極めたテーコンFCを再現すること。それがベトテルFCの悲願だ。

昨シーズンもベトナム代表のレギュラーであるDFクエ・ゴック・ハイとMFグエン・チョン・ホアンを獲得して話題を集めたが、今オフには、いずれも元ベトナム代表のGKチャン・グエン・マインとMFホー・カック・ゴックを獲得して、弱点を克服するための的確な補強を行った。因みに、この4人は全員がソンラム・ゲアン(SLNA)出身の選手だ。

ベトテルは昨季40失点で、シーズンを通して守備が不安定だった。国内トップクラスのGKチャン・グエン・マインの補強で、この部分はかなり改善されるとみられる。また、中盤の司令塔になれるホー・カック・ゴックが加入したことで、攻撃面もかなり強化された。主力には、SLNA出身選手が多いため、連携面の不安もない。

タイ2部チエンマイFCから移籍したFWカイケ・レメスとブラジルのECサンべントから移籍したDFルイスの両ブラジル人助っ人はチームへの合流が遅れたが、どちらも強靭なフィジカルを武器に結果を残してくれると期待されている。何より、昨季のVリーグ得点王であるブラジル人FWブルーノが残留したことがチームにとって最大のプラス要素だ。

MFグエン・ホアン・ドゥックやMFグエン・ドゥック・チエン、FWチャン・ゴック・ソンといった下部組織出身の生え抜きスターも成長著しい。既存戦力と新戦力がかみ合えば、上位争いすることは十分に可能だ。クラブの象徴であり、精神的支柱にもなっているベトナム代表DFブイ・ティエン・ズンだけが、代えが効かない唯一無二の存在で、同選手が怪我無くシーズンを送ることが出来れば、昇格2年目のベトテルFCの優勝も全くの夢物語とは言えない。

ベトテルFCでは、昨季タンクアンニンから加入した国内屈指のアタッカーである元ベトナム代表MFブー・ミン・トゥアンもまだまだ健在。昨年、代表デビューを果たしたFWグエン・ベト・フォンもレギュラー獲りを狙っているほか、いつ代表に呼ばれてもおかしくない実力者がベンチにずらりと顔を並べている。戦力的には、ハノイFC、ホーチミン・シティ(HCMC)に引けを取らないものがある。テーコンFCの末裔であるベトテルFCが復活を遂げるなら、ベトナムサッカー界は間違いなく、更なる盛り上がりを見せるだろう。いずれにせよ、今シーズンの注目のチームであることに違いはない。

ベトテルFC
本拠地:ハンダイ・スタジアム(SVD Hang Hay:2万人収容)
監督:チュオン・ベト・ホアン
昨季成績:10位
戦力評価:B+
今季予想:4位

移籍選手
OUT:
GKグエン・タイン・トゥン、MFチャン・バン・チュン(フォーヒエン)、DFグエン・バン・トアン、DFジャンクレシオ(ハティン)、DFグエン・タイン・ビン、MFグエン・フー・タン、MFトン・バン・ホップ、FWチャン・ホアン・ソン(ビンディン)
IN:
GKチャン・グエン・マイン、MFホー・カック・ゴック(SLNA)、FWカイケ・レメス(チエンマイ)、DFルイス(サンベント)

今季所属選手
GK:
ゴー・スアン・ソン、チャン・グエン・マイン、クアン・テー・タイ
DF:
クエ・ゴック・ハイ、チュオン・バン・ティエット、グエン・チョン・ダイ、ブイ・ティエン・ズン、ブイ・ディン・ソン、ルイス(※ブラジル)
MF:
ブー・ミン・トゥアン、ダン・バン・チャム、グエン・ドゥック・ホアン・ミン、グエン・チョン・ホアン、グエン・ドゥック・チエン、ホー・カック・ゴック、ダム・ティエン・ズン、ズオン・バン・ハオ、グエン・ホアン・ドゥック、ブイ・ズイ・トゥオン
FW:
カイケ(※ブラジル)、グエン・ベト・フォン、チャン・ザイン・チュン、ブルーノ(※ブラジル)、チャン・ゴック・ソン、ブイ・クアン・カイ、チュオン・ティエン・アイン、ニャム・マイン・ズン、ルー・コン・ソン

今季開幕5試合の対戦カード
ハティン-ベトテル(A)
ベトテル(H)-HAGL
ナムディン‐ベトテル(A)
ベトテル(H)-タンクアンニン
ベトテル(H)‐HCMC

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