ベトナムフットボールダイジェスト+

Vリーグ観戦記、逆天王山に勝利のサイゴンが連敗を5でストップ 最下位脱出

Vリーグ1-2021第9節サイゴンFC(14位)とホンリン・ハティンFC(HLHT、13位)の試合が4月11日にホーチミン市トンニャット・スタジアムで行われた。ホームのサイゴンは、アルゼンチン出身帰化FWドー・メルロがこの日唯一のゴールを決めて、1-0で辛くも勝利した。因みに、この両チームはどちらも、もともとはハノイT&T(現ハノイFC)のセカンドチームとして設立しており、オーナーと本拠地が変わって現在の形となっている。

この日は連戦の疲れからか、キャプテンのMF松井大輔がベンチ外。代わってFW高崎寛之がベンチ入りした。スタンドにはベトナム代表パク・ハンソ監督の姿もあったが、おそらくお目当てはサイゴンの副キャプテンであるMFカオ・バン・チエンだろう。

昨年末27 歳で初めて代表招集された遅咲きのボランチは、右足骨折で長期離脱を余儀なくされたハノイFCのMFドー・フン・ズンの代役候補として名前が挙がっている。マッチアップするのは、HLHTの新戦力で、いきなりキャプテンを任された“ベトナムのクリロナ”ことMFチャン・フィー・ソン(28歳)。こちらは代表返り咲きを目指しており、ここでアピールしたいところ。

中盤で火花を散らす両チームキャプテン。パク監督の前でアピールしたのはどちらか?

試合は立ち上がりからホームのサイゴンが積極的に仕掛けて決定機を作った。5連敗中のサイゴンは直近5試合無得点と深刻な決定力不足に悩まされていたが、この日は吹っ切れたように攻めの姿勢を見せた。しかし、立ち上がりのチャンスを活かせず、試合はその後一進一退の攻防に。結局前半はどちらも決め手に欠いてスコアレスで折り返した。

立ち上がりの決定機を逃して頭を抱えるメルロ。

後半に入ると、サイゴンは控えのFW高崎を投入。HLHTもFWウォルシュを投入して互いに前線を強化。序盤は中盤でのつぶし合いとなったが、HLHTの守備陣が58分にロングボールの処理をミス。これを逃さなかったメルロが値千金のゴールを決めてサイゴンが先制。サイゴンにとっては、6試合ぶりのゴール。なお、サイゴンがここまで決めた今季のゴール3点は全てメルロが決めており、どれも相手のミスを突いて奪ったゴールだった。

負けると、最下位に転落するHLHTはここから猛攻を見せ、サイゴンは必死に耐える時間帯が続く。78分にはペナルティエリア内でサイゴンのDFティアゴがHLHTのFWウォルシュを倒してPKの判定。連敗脱出に暗雲が立ち込めたが、ここで守護神ファム・バン・フォンがファインセーブ。これで再び士気が上がったサイゴンは、最後まで集中を切らすことなく、虎の子の1点を守り切り、1-0で逃げ切った。これでサイゴンはリーグ戦での連敗を5でストップし、最下位を脱出。一方、敗れたHLHTは最下位に転落した。

この試合、途中出場の高崎はホーム初出場。大きな見せ場はなかったが、ポストプレーで前線の起点になったり、強みである高さを武器に実力の片りんを見せた。フル出場のMFウ・サンホはMF松井が不在の分、攻撃にも積極的に絡んで、攻守にわたり獅子奮迅の活躍。試合終了のホイッスルが鳴ると同時に、足をつっていたようでピッチに倒れこんだ。

お世辞にも内容が良いとは言えないながら、とにもかくにもホームで迎えた逆天王山での大きな1勝。この勝ち点3はチームに勇気を与え、チームを再浮上させる上で重要な意味を持つ。なお、3連敗後に解任となった霜田正浩監督の後任に就任したフン・タイン・フオン新監督にとっては、3試合目の指揮でついに初白星。サイゴンは次節、ホームでこちらも下位に沈むハイフォンFCを迎え撃つ。

試合のスタッツ情報は以下の通り。上からボール保持率、シュート数、枠内シュート数、CK、オフサイド、ファウル、イエローカード。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ