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レ・コン・ビン物語 “ベトナムの英雄”と呼ばれた男 第16回 世紀のビッグカップル誕生からベトナム一の嫌われ者カップルに。

レ・コン・ビンが自身の半生をつづった自伝『Phut 89(89分)』。ここには“ベトナムの英雄”と呼ばれた男の幼少期から現在までが記されている。国内最貧困地域の一つゲアン省で真っ黒になってボールを追いかけた少年時代、プロサッカー選手となり、人気歌手Thuy Tienと家庭を築くまで。自伝の中では、幼少期のことだけでなく、八百長や暴力などVリーグを取り巻く様々な問題についても赤裸々に語っている。出版社が発売を記念して、一部の項を公開。その内容を連載で紹介していく。

サッカー界のスターレ・コン・ビンと歌姫トゥイ・ティエン、有名人同士の“忍ぶ恋”

いつかトゥイ・ティエンが僕のもとを去るかもしれないという不安を感じていたので、自分から積極的にアプローチを続けた。もちろん、普通のカップルと同様に、付き合っていく上でのトラブルはあった。さらに、僕たちは二人とも有名人だったので、互いの悪い噂を耳にすることもあったが、ほとんどの場合、それは事実とはかけ離れたものだった。一度、大喧嘩をしたことがあって、彼女が別れ話を持ち出した。僕は彼女に電話したが、コールしても繋がらず、メッセージを残しても返事はなかった。そんなことが何週間も続いて、サッカーのことを考える時間と同じぐらい彼女のことを考える時間が長くなっていることに気付いた。

 2009年の中頃、僕は人生で初めてタトゥーを彫ることを決意してサイゴンに向かった。今でこそベトナムのサッカー選手がタトゥーを入れるのは珍しくないが、当時としては稀だった。今は若者の間でファッション感覚のタトゥーが流行している。世界を見てみると、タトゥーを入れているサッカー選手の数は多く、そうでない選手を上回る程だ。しかし、2009年当時のベトナムでは、「タトゥー=反社会的勢力」という印象が強く、人々が拒否反応を示すことが多かった。そんな時代ではあったが、僕は人生で最初のタトゥーを上腕部に入れることを決めた。

 ある晩遅く、トゥイ・ティエンが借りていたマンションの部屋を訪ねてドアをノックした。突然の夜中の来訪者に彼女は驚いた様子だったが、それでもドアを開けてくれた。僕はドアの後ろで満面の笑みで立っていた。

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