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ベトナム代表初招集のドイツ系越僑CBアドリアーノ・シュミットとは何者か?

FIFAワールドカップ・アジア最終予選の第7節オマーン戦と第8節日本戦に向けたベトナム代表の招集メンバーがこのほど発表された。この中で異彩を放つのは、今回初招集となったアドリアーノ・シュミットという名前。

185cmの恵まれた体格を持つ長身のセンターバックだが、ロシア系GKダン・バン・ラムやチェコ育ちのMFマック・ホン・クアンなどベトナム代表招集歴がある他の越僑選手と違って完全に外国人の名前なので、普段Vリーグを観ない人たちは、ベトナムにルーツを持たない帰化選手と誤解する人もいたかもしれない。しかし、アドリアーノ・シュミットはベトナム人の父親とドイツ人の母親を持つ混血だ。

越僑選手の成功例ダン・バン・ラムの後を追う形でベトナムへ

アドリアーノ・シュミットのベトナム代表招集までの道のりを探っていくと、誰もがダン・バン・ラムを想起するだろう。生まれ育った母親の祖国ではプロ選手になれず、父親の祖国ベトナムでプロサッカー選手になる夢を叶えた。アドリアーノはドイツのセミプロリーグで数年プレーした後、ベトナムの地を踏んだ。

前述した越僑選手の一人であるマック・ホン・クアンが両親共にベトナム人で、幼少期にチェコに移住したのに対し、アドリアーノ・シュミットとダン・バン・ラムは生まれも育ちもヨーロッパであり、彼らのメンタリティはベトナム人というより、ほぼロシア人とドイツ人のそれといってよい。

ドイツ・バイエルン州アウクスブルク出身のアドリアーノは6人兄弟。ベトナム人の父親は仕事が忙しく、子供たちにあまりベトナム語を教える時間が取れなかった。この点は、父親からベトナム語やベトナムの文化を学んでいたダン・バン・ラムとの相違点だ。アドリアーノは6歳のとき地元の小さな少年サッカークラブに入団。その後は、FCインゴルシュタット04、VfBアイヒシュテット、FCゲーロルフィングの下部組織を経て、5部TSVシュヴァープミュンヘンのトップチームで主力として活躍した。データサイト「transfermarkt」にドイツ5部でプレーする二重国籍選手としてアドリアーノ・シュミットの情報が掲載されたのもこの頃だ。

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