松沢呉一のビバノン・ライフ

風営法改正で消滅しそうな業種はコレ (松沢呉一) [シリーズ 風営法改正案を読む」 -3,263文字-

風営法はこう変わる

vivanon_sentenceクラブをめぐる風営法改正はいよいよ大詰めに差し掛かり、改正法案も公開されています。

「よかった、よかった、すべては結果オーライ」と言いたいところなのですが、改正法案を見ると、「はて、ホントによかったのか」と改めて疑問を抱かざるを得ないのです。

改正法案を一読して理解できる人はそうはいないでしょうし、私もまだ細かくは理解できていないところがあるのですが、現時点で理解できているところから解説をしていきたいと思ってます。

まずこの部分。

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第二条は「定義」の条文で、風俗営業の分類をしています。最後の「特定遊興飲食店営業」については次回以降やるとして、まず第二条第一項を見ていきます。

今までは以下のようになってました。

第二条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。

一 キヤバレーその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客の接待をして客に飲食をさせる営業
二 待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
三 ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(第一号に該当する営業を除く。)
四 ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業(第一号若しくは前号に該当する営業又は客にダンスを教授するための営業のうちダンスを教授する者(政令で定めるダンスの教授に関する講習を受けその課程を修了した者その他ダンスを正規に教授する能力を有する者として政令で定める者に限る。)が客にダンスを教授する場合にのみ客にダンスをさせる営業を除く。)
五 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた客席における照度を十ルクス以下として営むもの(第一号から第三号までに掲げる営業として営むものを除く。)
六 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
七 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
八 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

一号営業は「ダンス+接待+飲食」という内容。キャバレーがこれに該当します。つっても、今どきキャバレーがどういう場所か体験したことのない人もいるでしょう。大きなハコにテーブル席が多数あり、客の横にホステスがつき、ステージでは生バンドが演奏し、それに合わせてフロアダンサーが踊りながら客席を回り、客とホステスがチークダンスを踊る。時には歌謡ショーもあり。昭和の香りが漂うレトロな場所です。

三段対照式 風営適正化法・法令基準集 二号営業は「接待+遊興」あるいは「接待+飲食」という内容。「待合、料理店」というのは花柳界に付属する業態です。置屋から派遣された芸者が酒を注いでくれたり、踊ってくれたりする場所。この号の「カフェー」はホステスのいるクラブ、ラウンジ、キャバクラなどを指します。戦前の浅草や銀座で流行ったカフェーという言葉が残ったものであり、喫茶店ではありません。

三号営業は「ダンス+飲食」。風営法改正のきっかけになった、いわゆるクラブはここに該当します。「ナイトクラブ」は今現在はっきりとしたジャンルとして意識されることはあまりないですが、戦後間もなくあったもので、赤坂や六本木あたりには、ガイジンさんが女連れでやってきて、酒を飲みながら踊るような店が多数存在していました。

四号営業は飲食の提供がないダンス営業のみの業態です。かつてはこれも多数存在していましたが、今はダンス教室や社交ダンスのホールなどがここに該当します。

五号営業は昭和30年代の改正時に加えられたもので、深夜喫茶で不良たちが淫行をしたり、タバコを吸ったり、酒を飲んだりすることが社会問題になったことを受けたものです。

今回の改正に関係してくるのは以上。

  この改正によって消滅する条文 -キャバレー業界の苦境

vivanon_sentenceこれを以下のように改正するのが今回の法案です(条文を元に私が書き直したものですので、間違いがあるかもしれない)。

第二条  この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。

一 キャバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
二 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
三 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
四 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
五 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

風俗営業の基準のひとつとなっていたダンス営業が消えて、号の組み直しがなされました。今までの流れから必然的にそうなることはわかっていたわけですが、どう整理するのか、私は気になってました。

法案では、ダンスが消えて、四号はたんなる飲食店となり、五号とともに風営法から消滅。

今まで一号営業は「ダンス+接待+飲食」という内容。二号営業は「接待+遊興」あるいは「接待+飲食」という内容。改正案では一号からダンスが消えて「接待+飲食」という内容になり、二号に吸収されて消滅し、二号が一号に繰り上がり、六号以下も繰り上がりました。

以上はダンスが消えたための整理にすぎないのですが、業種によっては大きな意味があって、ことによると、この改正で潰れる店も出るかもしれない。

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