松沢呉一のビバノン・ライフ

他人の性癖を認めない日本の文化 … エロ話と性風俗産業の関係 -ろくでなし子再逮捕 補足編-(松沢呉一) -2,995文字-

 

日本ではなんでも店になるのが特徴

 

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大晦日も更新です。元旦からガンガン更新していく予定ですので、今回は軽く補足をしておきます。念押しと言いますか。

「オランダのTVは夜9時以降は性器も挿入シーンも・・・権力批判と依存の関係」に書いたオランダのテレビクルーが日本の特徴として挙げていたのはエロが溢れていることではなく、「なんでも店になる」ということです。エロはあっちの国も溢れていて、飾り窓だって合法ですから、んなバカなことは言わない。

あちらではSMをやる人たちは個人でやります。それが集まってサークルになり、巨大なパーティも開かれています。こうなると、オーガナイザーは食っていくこともできましょうが、日本ではこれが店になります。SMクラブだったり、SMバーだったり。そういった店が主催でパーティやることもありますし、店とは無関係のパーティやイベントの類もありますが、プレイとなると圧倒的に店が介在します。

スワッピングもあっちではサークルになる。日本でもスワッピングはサークルが主体ですけど、同時にハプバーのような店も存在します。セックスワーカーもあっちは個人単位、こっちは店主体。オランダでもドイツでも、飾り窓は個人単位の営業で、場所を借りるスタイルです。日本でも「場所貸し」という方法がごく一部に存在していますけど、おおむね店になります。意識の違いが業態にも反映されているわけです。

なぜそうなるのかについてはさんざんこれまでに原稿を書いてきているので、それも機会があったら「ビバノン循環湯」で再録しますが、その一因になる話を数日前に聞きましたので、紹介しておきます。

※「オランダのテレビクルーに気づかされたこと—オランダに学ぶ 1」「日本のセックス表現が暴力的に見えるわけ—オランダに学ぶ 2」「胃で話す人たち—オランダに学ぶ 3」に書きました。

 

 

おフランスではエロ話は身だしなみ

 

vivanon_sentence「スナイパーEVE」用に、フランス人の女王様に話を聞きました。ここにリンクしていいのかどうかようわからんので、どこの女王様かは伏せますが、「ヨーロッパのコマーシャルはどうしてエロなのか」に書いた「フランス人と日本人の性に関する考えの違い」を裏付ける話が次々と出てきました。

スナイパーEVE vol.24 (ミリオンムック)「家族がいるところでは別にして、フランスではセックスの話を平気でする。男よりも女の方が好きかもしれない。女子会では8割がセックスの話です(笑)」

8割は多すぎでしょう。5割くらいに抑えた方がいいんじゃないかと私でも思います。

フランス人にとってセックスの話は不可欠であり、教養や身だしなみのようなものという話は以前から聞いてましたが、こういう国だから、モロにセックスを表現したコマーシャルも成立するわけです。

そこまではわかるとして、意外だったのは、彼女が日本で女王様という職業に就いたのも日仏の文化的違いが理由だったことです。

 

 

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