松沢呉一のビバノン・ライフ

日本のヘイトスピーチ救済はアメリカ型へ -刑事罰ではなく高額な民事賠償・・・在特会ヘイトスピーチ裁判から考える (松沢呉一) -4,310文字-

最高裁が在特会の上告を棄却、判決が確定!!

 

vivanon_sentenceホントによかった。

 

ヘイトスピーチで賠償確定=在特会の上告退ける-最高裁

人種や国籍への差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)による街頭宣伝活動で授業を妨害されたなどとして、京都朝鮮学園が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)と会員らに損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は9日付で、在特会側の上告を退ける決定をした。約1200万円の賠償と学校周辺での街宣禁止を認めた一、二審判決が確定した。
裁判官5人全員一致の意見。ヘイトスピーチの違法性を認めた司法判断が確定したことで、一定の抑止力が働くとともに法規制をめぐる議論が活発化しそうだ。

(略)

一審京都地裁は「在日朝鮮人への差別意識を世間に訴える意図があり、人種差別撤廃条約で禁じられた人種差別に当たる」と判断し、違法性を認めた。
二審大阪高裁も、同条約上の人種差別に当たると認定。「表現の自由によって保護される範囲を超えているのは明らかだ」などと指摘し、在特会側の控訴を棄却した。
在特会の話 最高裁が政治的な表現の自由に向き合わなかったことは残念だ。(2014/12/10-17:00)

時事通信

ちょっと前に、この件に詳しい弁護士に、最高裁がどう判断するのかについての意見を聞いていたのですが、「安心はできない」とのことでした。

「純然たる法律判断がなされるのは高裁まで。最高裁は政治的判断が加わる」

地裁、高裁の判断を最高裁が覆すことはよくあります。私なりの考えから、政治的判断としても、ヘイトスピーチの違法性を認める方向は揺らがないだろうとは思ってましたが、金額を減らされることはあるのかもしれないと予想。そのくらいに異例の高額賠償金だったわけです。

しかし、いざ蓋を開けてみたら、上告棄却。この決定が意味するところは大きい。地裁判決、高裁判決の内容については、今後詳しく報じられていくでしょうから、ここでは私なりの分析をやっておきます。私の言うことはだいたい当ってますが、今回は専門的な知識が足りないので、間違っているかも。間違っていたらごめん。

 

今後は、最高裁を判断を踏まえた判決へ。在特会崩壊!!

 

vivanon_sentenceここまで述べてきたように、在特会はすでに崩壊に向かっています。

12月7日の京都でのヘイトデモとそのカウンターが端的にそのことを示してました。

右上に時間の経緯を示すカウンターがついていて、15分ほどデモはスタートできなかったことがわかります。すでにデモさえまともにできないザイトク一派です。

正確な人数まではわからないですが、桜田修成、おにぎりなど、東京からの応援組を入れても30人程度しかいないように見えます。対してカウンターはその10倍、あるいはそれ以上。現場にいた人の報告でも、デモ参加者は最少20人、最大50人と数字のバラ付きが大きいのはカウンターが多すぎて見えないためです。この動画をよくよく見ると、あっちの中に入り込んで説得に当っているカウンターもいます。どこまでがなんなのかも判然としない状況です。

解散した純心同盟の残党もいなかったようですし、内部でも来ると信じられていた桜井誠は参加せず、人生を投げているメンツしか残っていない。ああ見えて、桜井誠はなお人生を投げてはいないってことです。

そして、今回の上告棄却。

在特会の上告は結論の先延ばしでしかなかったのでしょうけど、おかげで最高裁にまで持ち込まれて、今後の裁判もすべてこの裁判の影響を受けます。よくぞ上告した。

今後数々の在特会およびその周辺団体に対する民事訴訟が起こされるでしょう。今回の最高裁を判断を踏まえた判決が出ます。経済的にも在特会とその類似団体は完全に破綻します。

 

欧州以上の民事裁判賠償額 -最高裁が確定した流れ

 

vivanon_sentence最高裁の決定は在特会崩壊を確定したに等しい。同時に、もうひとつの流れが確定しました。人種差別撤廃条約に加入して以降のこの国の司法の姿勢が確定したわけです。

なぜかこのことを評価する人たちが少ないため、私がざっくりここまでの流れを改めて説明しておくとしましょう。

 

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