松沢呉一のビバノン・ライフ

テレビ局はtwitterの投稿画像を無断で使えるか・・・報道と著作権の微妙なライン[1] (松沢呉一) -4,509文字-

本の表紙を出すのは著作権侵害? 著作権をめぐる法とモラル

 

vivanon_sentence「ビバノンライフ」に来ている方の多くはFacebookとメルマガ「マッツ・ザ・ワールド」経由ですけど、それ以外のところからいらしている方々も一部いらっしゃいます。中には気づいていない方がいらっしゃるかもしれないですが、Facebookに「ビバノンライフ」の公式アカウントがあります。更新のお知らせをしている他、銭湯情報満載です。

先日、その公式アカウントで、今までの「ビバノンライフ」ページ別PVベスト10を発表いたしました

スクリーンショット(2014-12-17 8.49.54)ダントツで「ついにJASRACを追い込むか? ファンキー末吉と江川ほーじんの闘いに決定的な新兵器が登場」がトップです。全PVの半分以上がこれでした。「ろくでなし子再逮捕」シリーズも健闘はしていますが、数字は比較になりません。

マンコと反レイシズムと風営法改正などなどを全部合わせてもこの1本に勝てないとは。

ベスト10を公開したために、また1位のアクセスが激増してしまいまして、今なおアクセスが続いています。どんだけ皆さん著作権に興味があるのかと。

著作権というよりJASRACなのでしょうし、ファンキー末吉と江川ほーじんが巨大な敵に立ち向かうという物語が興味を惹くのでしょう。また、この回は全文無料公開だったためでもあるのですけど、それにしても、この手の話題がこうも人気だとは想像だにしてませんでした。

著作権は我が得意分野でありまして、メルマガではよく著作権のニュースを取り上げています。

私はどんな時にも常に著作権を遵守すべきとは思っておらず、アバウトでいいところはアバウトにしておいた方がスムーズに進みます。その時に気をつけた方がいいのは、法とモラルの関係。法を守っても、モラルに反すると批判をされますし、その批判は多くの場合、正当だと思います。たとえば小説や漫画のアイデアをパクっただけでは著作権侵害にはなりません。しかし、モラルには反する。

逆に本やCDの紹介をする時に本の表紙やCDジャケットを出すのは著作権侵害です。中身を批評していても、本の表紙の著作権を侵害していて、これは引用にはならない。表紙やジャケットに使用された著作物自体を批評するしかないのです。しかし、モラルには反しないので、こんなことで文句をつけてくるのは漫画の一部くらい。世間一般にも許されることかと思います(なお、Amazonのアフィリエイトで表紙写真を出すのは、微妙な点を残しつつ、合法です。長くなるので、注で説明します)。

この辺の折り合いをどうつけるべきかを考えるためにも著作権の知識はあった方がよく、「ここは違法だけど、無視していいだろ」という判断ができるかどうかの違いになって表れますし、著作権法を知っていれば利用できることもたくさんあります。

そこを押えていないために、しょうもないことで突っ込まれて、崇高な表現も台無しになりかねない。よく私が話すことですが、「反権力」みたいなことを掲げながら、著作権にアバウトで、パクってきた画像を堂々使っている人がいて、信用する価値なしです。全然本気で闘う気がない。この人物を潰そうと思ったら、警察は著作権者に連絡をし、プロバイダーやSNSの運営に通報させて、利用できなくすればいい。あるいは訴えさせればいい。

別に権力と闘わなくていいけど、弱点は晒さない方がよいかと思います。

ちゅうことで、そんな気はなかったのですけど、「ビバノンライフ」でも時々著作権について書いていこうかと思い立った次第。法律家は法律に遵守したことしか言えないのに対して、私は「ここは違法だけど、モラルから考えて法は無視していい」と言えます。法律家とはまたちょっと違う観点で、語っていこうかなと。

基本的知識のない人に「著作権とはなにか」「著作物とは何か」から説明するのは面倒なので、どっちかという理解が難しいところだけを取り上げていく予定です。ただし、昨今急速に動いているデジタル時代特有の著作権については弱いので、その辺については他の人に聞いてちょ。

 

テレビ局はtwitterの投稿画像を無断で使えるか

 

vivanon_sentence最近面白かったネタは、NHKが地震の際にTwitterに上げられていた写真を無断で使用したという話。

Togetterのまとめはこちら。

NHK、自室写真を無断使用:海外では高額の賠償命令が…!

 

これについてもメルマガで詳しくやりましたけど、その後、たまたま別件で、報道番組やドキュメンタリーで、他者の著作物をどこまで使えるのかについて調べる必要があって、テレビの報道番組のスタッフに実際にどうしているのかについて聞きましたので、改めて「ビバノンライフ」で、ここまでわかっていることをまとめておくことにしました。

 

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