松沢呉一のビバノン・ライフ

ケツ毛の役割論-どんなつまらない存在でも役割がある- [ビバノン循環湯 6] (松沢呉一) -3,867文字-

何度かにわたって、メルマガに書いたものです。4、5年前だったと思います。その後、陰毛を剃るようにもなりましたが、陰毛を完全に剃ることは難しく、挫折しました。現在はハサミでカットしているだけです。そのことを書いたシリーズもあるので、いつか再録するかもしれないですが、試行錯誤をすべて記述しているため、ムチャ長く、ここでは難しいか。

 

 

 

ケツ毛処理の私的歴史

 

vivanon_sentenceケツ毛を最初に剃ったのがいつだったのか記憶はない。尻を触っていてケツ毛に触れて、それが気になったためだったと思う。陰毛ほどではないが、ケツ毛は案外長い。それが肛門の周辺に生えているのはヴィジュアル的に美しくないし、場合によってはウンコカスがつく。こんなもんはいらんだろと思って剃ったのが始まりだった。

以来、数回は剃ったことがあるが、頻繁に剃るようになったのは人として自分のずるさが許せなくなったためだ。

雑誌「スナイパーEVE」で長年女王様のプレイを鑑賞しているのだが、相手をするM男さんはほとんどの場合、読者の応募だ。交通費程度のギャラは出るが、「金目当て」になるほどはもらえない。それでもプレイ料金は払わなくていいわけで、人前でプレイをすること自体が好きな人、客としては新規で受け付けていない女王様とプレイをしたい人、和気藹々とした空気の中で長時間のプレイを楽しみたい人たちが応募してくる。

スナイパーEVE vol.30 (ミリオンムック)素人さんの場合、当日になってすっぽかしたり、ドタキャンをすることがあるので、何人かの常連が決まっていて、この人たちはしっかりケツ毛を処理してくるし、中には陰毛を剃ってくる人もいる。

しかし、時々新規でやってくるM男さんの中にはそういった礼儀がなっていないのがいて、女王様に叱られることになる。

「何、この汚いケツは。おまえ、失礼だよ」とムチでケツを叩かれる。

そうなるのは必然。仕上がったM男より、そういうところにウブさを感じるので好きだという女王様もいるのだが、そうだとしてもプレイの導入として罵倒の対象になる。もちろん、こういうところに本気で苛立つ女王様もいる。

それを見ている私も「うわ、汚え」と思い、編集者と「ケツ毛くらい剃ってこいよ」と語り合う。きれいな肛門を見慣れていると、事実、汚いのである。

しかし、「うわ、汚え」と思っている私のケツは毛がボーボー。ケツに毛を生やしている私が「うわ、汚え」と言っているのは、人としてどうなんかとの疑問にぶち当たり、それから折を見ては剃るようになった。

 

 

マドロス・スタイルの完成

 

vivanon_sentence毛抜きで抜くことも試したが、見えないところの毛を抜くのは困難である。場所が場所だけに鏡を見ながらでも難しく、早々に諦めた。私はヒゲに電気カミソリは使わないのだが、それ用に安い電気カミソリを買ってきて試したこともある。しかし、毛が長いため、うまく毛先を拾えず、これも失敗した。

いろいろ試したのだが、結局のところ、T字のカミソリで剃るのがもっともいい。この場合、気をつけなければならないのは、肛門周辺にはイボがあったりして、それを切って流血することだ。見えないだけにスリル満点。

最初は風呂でしゃがんでケツ毛を剃り始めたのだが、これは恥ずかしい。ウンコする時もこういう格好なのだが、風呂はもっと広いので、時折視線を感じる。振り返ったところで誰もいないわけだが、誰かに見られたらどうしようと怯えながらケツ毛を剃るのはどうも居心地が悪い。よく考えたら、センズリする時も誰かに見られたらどうしようと怯えていいわけだが、この時は目先の欲望にとらわれているので、全然気にならない。少しは気にした方がいいかもしれない。

Recycle-bargeケツ毛を剃っている自分の恥ずかしさをなんとか克服したい。そう思って編み出したのがマドロス・スタイルだ。波止場でボラード(船を繋留する金属製の出っ張り)に足をかけたマドロスがパイプをくわえる気分で、風呂の椅子に足をかけ、カミソリをくわえ、誰も気づかないうちに、サッとカミソリをケツに当てて毛を剃る。しかし、気づいたらポタポタと血がしたたり落ちた。血まみれのマドロス。

カッコつけるのは危険だと学んだが、このポーズはケツが広がりやすいので、毛を剃るのには適している。以来、ケツ毛を剃る時はこれを採用している。

マゾだけじゃなく、ゲイの間では「ケツ毛は汚い」という感覚が広がりつつあり、すでに男のケツ毛を脱毛してくれるエステが存在していることがわかった。これはいいな。ケツ毛の処理は面倒。血まみれになるリスクもある。さしたる本数ではないので、たいした金はかかるまい。だったら金を払ってもいいかも。

問題はエステシシャンは男か女かだ。同性に肛門をマジマジ見られるのは抵抗がある。かといって若い女性でも抵抗がある。相手も裸で、こっちもあっちの肛門を見られるんだったらお互い様として。選択できるんだったら、おばちゃんのエステシシャンがいい。それを確認して、脱毛するかと思い始めた頃、ストップをかける事実が発覚した。

ケツ毛にはどうやら役割があるようなのである。

 

 

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