松沢呉一のビバノン・ライフ

「著作権侵害は親告罪だから」と言い出すことの愚-厄介な「レイシストカウンター」批判 11(松沢呉一) -3,137文字-

誰でも映画に出演できてしまう時代-厄介な「レイシストカウンター」批判 10」の続きです。

 

 

アップリンクに責任はあるのか?

 

vivanon_sentenceレイシストカウンター」についてはうんざりしたことがいっぱいありまして、いまなおうんざりし続けているところです。その対象はわたなべりんたろうだけではありません。

たとえば、「『バトン』に込めた思い-金相佑君送別会のお知らせ」に書いたように(有料部分)、「同じ目的だから」というだけで映画を観ずに上映するような市民団体の無責任さが「レイシストカウンター」を生み出す背景にあって、それをなお反省していない人が現にいることにうんざりです。

レイシストカウンター」を上映をしたアップリンクの責任はないのかという声も出ていますが、小屋貸しであるなら、責任はないかと思います。あるとしても、「すんませんでした。今後はできるだけ気をつけます」と型通りのことを言えばおしまいにしていい程度でしょう。

もちろん、「アップリンクでは著作権侵害乱発糞映画でも上映するのか」と失望する人たちが出てくることは引き受けるしかないとして。

おそらく場所を貸し出す際の規約にIMG_7369は、映画の内容については上映する側に責任がある旨が記載されているでしょうし、小屋がかける作品の著作権まですべてチェックするのは不可能ですから、制作者や上映の主催を信頼する以外にない。書店が扱う本の著作権までチェックするのは不可能なのと同じ。本はタイトル数が多いので、本と映画では同じ扱いにはならないにしても。

それでも公共の施設の場合は、税金で運営されている以上、純然たる場所貸しであっても、上映される作品の内容について一定の責任を負うという考え方もあるで しょうけど、それとてチェックする範囲を拡大すると事前検閲になりかねない。民間施設では、より内容に踏み込んでも検閲にはなりえませんが、内容をチェックしていなかったからと言って、責任を求めるのは無理でしょう。

しかし、そうとわかったら上映すべきではない。場所貸しであっても、これ以降の上映については責任を負うと思います。

 

 

 映画上映の責任と義務

 

vivanon_sentence主催や共催であれば事前に内容をチェックするのは義務。それでもチェックしきれないことはあるでしょうが、今回はあからさまです。「常識」で判断できる内容。

上映会の主催には、それだけの責任があるのですから、上映会をしたいと思ったら、まずは映画を観るのが絶対条件かと思います。物理的にそれができない場合はやむを得ないとしても、最低限情報は収集して判断すべきです。

フィルムの時代はなかなかそうはいかなかったでしょうけど、今は試写用DVDを送ってもらう、そのためにYouTubeに限定公開してもらうなどの方法があるのですから、「上映させてください」の前に「観る方法がありますか」と問い合わせるべきです。「観てなかった」では責任から逃れられず、「レイシストカウンター」を上映した団体は著作権侵害の責任を一定負うと思います。

あと一回「レイシストカウンター」の上映会をするらしいですが、著作権侵害された人が、その部分については一回の上映を認めたとしても、他にも侵害がある可能性が高いことはすでにわかっているわけで、それでも上映する神経がよくわからん。チャレンジャーか。

「自分らの権利を守るために、他者の権利を侵害していい」という論理は同類の人にしか通用しません。上映会を中止にして生ずる損害は、わたなべりんたろうに請求すればいいことです。

 

 

権利者以外は著作権侵害を批判できないとする愚論

 

vivanon_sentence6月に入ってから権利者とわたなべりんたろうとの話し合いが始まるため、今はまだ触れにくいのですけど、そこにできるだけ踏み込まずに、うんざりしたことのひとつを書いておきます。

縷々説明してきているように、私が「レイシストカウンター」を批判する根拠のひとつは著作権侵害です。これに対して、「著作権侵害は親告罪だから」と言う人たIMG_8573ちが複数いました。んなことはアホでも知ってますがな。その程度のことも知らないで批判していると思ってんのかよ。

私は権利者の意向を踏まえています。場合によっては訴訟になることも十分ありそうです。話はこれでおしまい。

では、権利者が刑事告訴したり、民事訴訟を起こす意思がない限り、著作権侵害を指弾してはいけないのでありましょうか。

この程度のことも突き詰めて考えたことのないままに人に意見をしようとするタワケは「『廃墟写真事件』に見る法とモラルの境界線- 風景写真の著作権 2」でも読んどけ。これも有料部分ですが。

 

 

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