エイズを利用するサイテーの人々-ソウル・クィア・パレード 8(松沢呉一) -3,077文字-

2015年07月06日 21時02分　
カテゴリ：ソウル・クィア・パレード • 旅 • 社会運動

「ヘイト・プロテスタントは何が間違っているのか-ソウル・クィア・パレード 7」の続きです。

大邱のパレードも無事終了

韓国・大邱（テグ）でのパレードは、悪質な妨害を受けながらも、今年は最後まで完遂。

ハンギョレ新聞が詳しくその様子を伝えています。この記事によると、ソウルと違って大邱では、パレード参加者が600人に対して、妨害者の数が1050人と、パレード参加者を陵駕。

しかも、こちらの写真を見ると、ソウルよりも前面に立っている層の年齢が若いことに気づきます。これは実際に現場で写真を撮った祐介君にも確認。

その事情がよくわからないのですが、ソウルは全国からヘイターが動員されてきていて、バスに乗って宿泊までする層は高年齢になるのに対して、大邱では地元層が中心だったためかもしれない。ソウルに比べると大邱はずっと保守的な場所で、なお若い層でもヘイト・プロテスタントが浸透していたり、家族の縛りが強いといったところか。

人数が多いだけでなく、大邱での妨害者はホントにひどかったみたい。Togetterのまとめにも出ていますが、先頭のフラッグに糞尿を投げつける、まさに糞オヤジまでが登場して逮捕されています。

汚れたフラッグを報告するツイート。

この犯人は韓国初の同性結婚式に対して、糞尿を投げつけて世間の顰蹙を買った人物と同じらしい。この段階で教会から追放されていたということなので、よっぽどでしょうけど、こういう人物を生み出すのが韓国プロテスタント教団であり、この人物だけが異常なのではありません。

エイズを利用して同性愛否定を試みるヘイター

祐介君の報告の中で、ひときわ腹が立ったのがこれ。

サイテーだな。

ソウルでも同じでした。ハングルが読めないのですけど、教えてもらったところによると、エイズにからめたプラカードは多数あったよう。

以下は会場近くに出ていたものですが、これもエイズがらみの展示かもしれない。不快なので、よく見なかったんですけどね。

DSCN0762

エイズのことを一度たりともまともに考えたことのない連中でありましょう。

このことを改めてまとめておいた方がよさそうです。

男性同性愛者に感染者が多い理由

先進国において、国単位で見た時には、おおむねどこもMSMの感染率が高いのは事実。

MSMは「Men who have Sex with Men」のことで、たとえば男性同性愛者向けのセックスワーカーのように、ヘテロであっても、男性との性交渉をした人たち、する人たちを含む用語です。馴染みがあまりない用語なので、ここでは男性同性愛者としておきますが、MSMと同じ範囲を指すと思ってください。

男性同性愛者の感染率が高いのは、粘膜を傷つけやすい性行為をするケースが多いこと、妊娠の恐れがないためにコンドームをつける必然性が薄いこと、制度の縛りがないため、相手を頻繁に変える人たちがいることが大きな要因になってしましょう。

HIVの対策として、治療薬の開発、医療体制の拡充といった医学の領域での対策はもちろんのこと、知識の普及、コンドームの着用、検査の推奨がなされてきて、男性同性愛者の検査率が高いために、現実以上に捕捉される感染者の率が高くなっている傾向もあります。

そのことは、発症者ではヘテロの率が感染率より高くなることにも反映されています。検査をしていなかったために、発症して初めて感染を知ることになりますから、当然治療は困難になります。

とは言え、これらの国において、男性同性愛者が男性異性愛者の感染率を大きく上回っていることは間違いがない。その上でどう対策をとるべきか。