松沢呉一のビバノン・ライフ

ヘイト・プロテスタントは厄介者-ソウル・クィア・パレード 6(松沢呉一) -2,699文字-

韓国におけるキリスト教-ソウル・クィア・パレード 5」の続きです。

 

 

プロテスタント教団の孤立

 

vivanon_sentenceさっき、ぷれいす東京の生島さんにFacebookで教えられたんですけど、LGBTを肯定するプロテスタント教団「メトロポリタン・コミュニティ・チャーチ」は韓国にも教会があるんですね。パレードに参加していたのはそこの人たちか。最後まで単身妨害者と対抗していた女性も、そこの信者でありましょうか。

日本でもそうですけど、プロテスタントと一言で言っても、その内実はさまざまで、韓国のプロテスタント勢力図についてはよくわからんです。

DSCN0076教会も一目でそれとわかるものもあれば、ビルの中に入っているのもあって、右の写真はビルの一階にあった教会の入口。スナック「ゴッド」みたいな佇まい。もしかすっとホントに尼僧の格好をしたママが相手をしてくれるスナックかもしれないけれど。

日本にもいるように、夢に神様が出てきて、ある日突然、教祖になってしまって、実質、教祖様が人生相談をやっているだけの教団もきっとあるんだと思います。

それらをひとつにまとめてしまうと間違いが生じそうで、積極的にパレードに反対し、妨害するような人々に限定して「ヘイト・プロテスタント」としておきます。

ここまで書いたことを読むと、あたかもヘイト・プロテスタントが広く社会に浸透し、支持されているかのようにも思えましょう。

ヘイト・プロテスタントが人口の1割を占めるとなれば市場が成立して、これらの人々を対象とした保守キリスト教新聞も存在します。20万部出ていると言っていたはず。韓国の日刊新聞としては決して少なくない数字です。一般のメディアもそれらの層を無視はできない。下手なことを書くと抗議が殺到する。面倒な人たちですから、触れないようにしてしまいがち。

そのため、実情がわかりにくいのですが、プロテスタント教団がその外側でも広く支持されているわけではなくて、この層は孤立をしていると言って間違いなさそうです。数が多いので、孤立という表現は適切ではないのだとしたら、隔絶していると言ってもいいですが、その外側には好意的に見ている人は少ない。ロシアにおけるロシア正教とは全然違う。

これはパレード参加者のバイアスのかかった見方では決してないと思います。

 

 

「またあの連中か」とうんざりされている宗教

 

vivanon_sentenceわかりにくい写真ですが、パレードの前夜、広場の横ではあの連中が歌ったり、説教したりのパフォーマンスを続けていました。しかし、見ている限り、道行く人は誰一人相手にしてませんでした。

それどころDSCN0240か、露骨にイヤな顔をする人を多く見かけました。相手にわかるようにだと思いますが、耳を両手で塞ぐ人、おそらくは罵倒語をつぶやく人、スピーカーを蹴る人たちもいました。パレード参加者ではなく、見る限りでは、普通の通行人たちです。

町の人々の反応からすると、嫌悪されている存在だと思います。LGBTに対する姿勢だけが原因なのではなくて、それ以前からそういう扱い。

言っていることが時代錯誤で、勧誘がしつこい。路上であろうと、電車の中であろうと勧誘をしてくる。家にもやってくる。

 

next_vivanon

(残り 1717文字/全文: 3045文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ